2021-01-01から1年間の記事一覧

N 道尾秀介

タイトルを見て、すぐに連想したのがドラマ「Nのために」でも本作のNは頭文字ではなくて、自然数の「n」Nの数だけ人生がある、という意味だそうです。 連作短編6作の冒頭1ページだけを巻頭に載せ、どれから読んでも良いという作者のナビがあります。 私は…

兇人邸の殺人 今村昌弘

剣崎比留子と葉村譲のシリーズ三作目。 これは面白かった!一作目の屍人荘に匹敵する意外な展開でした。 今までの事件の背景で糸を引いていた班目機関が過去に行っていた研究を知った二人と、研究資料と研究成果を手に入れたい成島、彼に雇われた傭兵たちは…

花咲舞が黙ってない  池井戸潤

ドラマでも人気になった花咲舞シリーズ、ついにドラマと同じタイトルになっちゃいました第一弾です。 今作にはいろいろ驚きの展開があって、それに触れずにはいられないので、ネタバレ注意です。 まず、ラスト2話、東京第一銀行では「エリア51」と呼ばれる…

息吹 テッド・チャン

寡作で知られるテッド・チャンの何と二冊目の著書。でも一作目の「あなたの人生の物語」は世界のSF賞を総なめに。私が初めてチャンを読んだのは、本作に所収の「商人と錬金術師の門」。時間SFのアンソロジーで出会いました。アラビアンナイトの世界で展…

新 謎解きはディナーのあとで  東川篤哉

よくぞ帰って来てくれました!と拍手で迎えたくなるこのシリーズ、影山も麗子も風祭警部も変わりなく…影山の毒舌ぶりも健在なら、風祭警部のナルシストぶりも健在。そうそう、風祭警部、国立署に戻って来たんですよ。本庁勤務はやはり無理だったようで。でも…

復讐の協奏曲  中山七里

11月に新作が出ていることに気づかず、慌てて読み始めたお気に入りの御子柴シリーズ、遅読の私が3日で読み終わりました。これほど夢中になって読めるシリーズもなかなかないなあと。電子書籍なので読んだパーセンテージが出るのですが、「え、もう80%…

影裏  監督 大友啓史

印象的な映画を観たので、ひさびさに映画感想記事です。タイトルは「影裏(えいり)」タイトルだけ見ても、不穏な雰囲気を感じるだけで内容は推察できません。主演は綾野剛さんと松田龍平さんのW主演。 盛岡に転勤した今野(綾野さん)は、同い年の同僚日浅…

逆ソクラテス  伊坂幸太郎

伊坂さんには珍しい、小学生の群像劇の連作短編集です。学生に付き物の悩みを取り上げながら、思いもよらない方法で伊坂さんらしく解決していくのが胸がすく思いです。 タイトル作の「逆ソクラテス」一番好きな話です。担任教師の態度によってクラスで低位に…

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 青柳碧人

初の青柳さんです。名前の読み方も「あいと」だと初めて知りました。童話シリーズ、海外版と日本版どちらにしようか迷って、評判のいいこちらにしました。 童話ってけっこう残酷だったり暗かったりするんだけど、そういうブラックな面をミステリーとして生か…

不祥事 池井戸潤

東京第一銀行の事務部臨店という、支店の問題を調査し指導する部署にいる相馬健と花咲舞のコンビが、問題を痛快に解決する連作短編集です。半沢直樹の登場する作品を読んでいないので、私にとって初の銀行物の池井戸作品です。ドラマを先に見ていたのですん…