2022年 マイベスト本

いつの間にか新年もとっくに過ぎてましたが、何とか昨年のベストスリー本を挙げようと思います。 1 飢餓の人 エドワード・ケアリー ケアリー初の日本オリジナル短編集。 ケアリーならではの、謎に満ちた登場人物と館が登場します。 2 黒牢城 米澤穂信 直木賞…

さよならの向う側 清水晴木

亡くなった人が生まれ変わる前に訪れる場所「さよならの向う側」 そこではマックスコーヒーを2本持った「案内人」が待っていて、最後の24時間に心残りがないように、最も会いたい人と過ごす希望を聞いてくれます。 しかし、それには条件があって、会えるのは亡く…

誰かに話したくなるキノコの不思議な世界 大海淳

大好きなきのこ本、久々に数冊購入。 図鑑系はもうたくさんあるので、写真が綺麗で読み物として楽しめるかを基準に選んでいます。 この本はその両方をクリア。 最初に可愛いイラストと共にきのこの基本について分かりやすく説明されているので、初心者にもい…

飢渇の人 エドワード・ケアリー

アイアマンガー三部作で大ファンになったエドワード・ケアリー。 物に生命が宿るような作者の拘りと、作者直筆の少し怖く味のある挿絵も相まって、独特の世界観を構築しています。 これは日本で初めて編纂されたケアリーの初短編集です。 一作一作に彼らしさ…

エジソンズ・ゲーム 監督 アルフォンソ・ゴメス・レホン

カンバーバッチが発明王エジソンを演じた「エジソンズ・ゲーム」原題は「電流戦争」 直流を支持したエジソンと、交流を支持したウェスティングハウス(マイケル・シャノン)との戦いを描いたストーリー。 分かりにくいかと思いきや、思いがけず面白い作品でし…

ドクターストレンジ マルチバース オブ マッドネス 監督 サム・ライミ

久しぶりの映画記事。 ドクターストレンジ マルチバース オブ マッドネスを配信で観ました。 1は劇場で観たけれど、正直ラストのドルマムゥとの戦いが単調で眠くなりました。 小ネタに走り過ぎてテーマに一貫性がなかったのも問題だったと思います。 でも、…

にっぽん全国100駅弁 櫻井寛

今日は駅弁記念日だったらしい。 そんな日に読み終わったのがこの本です。 元々駅弁は大好きだけど、駅弁を旅の途中に食べる事はほとんどないです。 旅の食事は休憩を兼ねて落ち着いて食べられる店で食べたいので。 駅弁の良さは地域の名産が必ず入っている…

化物園 恒川光太郎

ケシヨウという人を襲って食べる怪物が、現代や、過去の日本や海外、異世界など様々な場所に出没し、それと戦いまたは共存する人々を描いた作品です。 初めのうちはただ恐ろしいだけだったケシヨウが、別の話では人々を支え助ける事もあります。 ある話では…

黒牢城 米澤穂信

黒田官兵衛はリアタイしていた大河ドラマ「軍師官兵衛」でなじみのある武将です。 だから、その時のキャスト官兵衛が岡田准一くん、荒木村重が田中哲司さんで思い浮かんだのは当然と言えるでしょう。 最初、長編だと思い込んでいたのですが、思いがけず謎が…

THE やんごとなき雑談 中村倫也

ダ・ヴィンチでのエッセイ連載をまとめた物です。ダ・ヴィンチでずっと読んでいたけれど、今回新エッセイ&料理の「やんごとなき雑炊」の連載が始まったので、これを機会に読み直してみることに。 中村さんは何をさせても器用な人で、料理、文章、絵、歌、喋…

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集  福井県立図書館

図書館でのレファレンス(利用者からの情報を元に本を探す)業務の中で、司書さんが出会った面白い「題名の覚え違い」をまとめた本です。 覚え違い自体の面白さもさることながら、作者の方のさりげないツッコミがまたユニークです。 タイトルの「100万回…

正体 染井為人

一家三人殺害で少年死刑囚の鏑木慶一は、脱獄して世間を騒がす。本人は名前と顔を変えながら日本中を転々とする。様々な職に就きそこで出会った人々を助け、癒していく。 彼は実際に事件を起こしたのか?そしてこれから何をしようとしているのか? wowowで亀…

2021 ベスト本

あけましておめでとうございます。 もう、読書数について嘆くのは終わりにして、読めない自分を受け入れようと思っています。まだほそぼそと記事を上げているだけでもまあいいか、と。 さて、2021年のベスト5ですが、 1 兇人邸の殺人 今村昌弘 ミステ…

N 道尾秀介

タイトルを見て、すぐに連想したのがドラマ「Nのために」でも本作のNは頭文字ではなくて、自然数の「n」Nの数だけ人生がある、という意味だそうです。 連作短編6作の冒頭1ページだけを巻頭に載せ、どれから読んでも良いという作者のナビがあります。 私は…

兇人邸の殺人 今村昌弘

剣崎比留子と葉村譲のシリーズ三作目。 これは面白かった!一作目の屍人荘に匹敵する意外な展開でした。 今までの事件の背景で糸を引いていた班目機関が過去に行っていた研究を知った二人と、研究資料と研究成果を手に入れたい成島、彼に雇われた傭兵たちは…

花咲舞が黙ってない  池井戸潤

ドラマでも人気になった花咲舞シリーズ、ついにドラマと同じタイトルになっちゃいました第一弾です。 今作にはいろいろ驚きの展開があって、それに触れずにはいられないので、ネタバレ注意です。 まず、ラスト2話、東京第一銀行では「エリア51」と呼ばれる…

息吹 テッド・チャン

寡作で知られるテッド・チャンの何と二冊目の著書。でも一作目の「あなたの人生の物語」は世界のSF賞を総なめに。私が初めてチャンを読んだのは、本作に所収の「商人と錬金術師の門」。時間SFのアンソロジーで出会いました。アラビアンナイトの世界で展…

新 謎解きはディナーのあとで  東川篤哉

よくぞ帰って来てくれました!と拍手で迎えたくなるこのシリーズ、影山も麗子も風祭警部も変わりなく…影山の毒舌ぶりも健在なら、風祭警部のナルシストぶりも健在。そうそう、風祭警部、国立署に戻って来たんですよ。本庁勤務はやはり無理だったようで。でも…

復讐の協奏曲  中山七里

11月に新作が出ていることに気づかず、慌てて読み始めたお気に入りの御子柴シリーズ、遅読の私が3日で読み終わりました。これほど夢中になって読めるシリーズもなかなかないなあと。電子書籍なので読んだパーセンテージが出るのですが、「え、もう80%…

影裏  監督 大友啓史

印象的な映画を観たので、ひさびさに映画感想記事です。タイトルは「影裏(えいり)」タイトルだけ見ても、不穏な雰囲気を感じるだけで内容は推察できません。主演は綾野剛さんと松田龍平さんのW主演。 盛岡に転勤した今野(綾野さん)は、同い年の同僚日浅…

逆ソクラテス  伊坂幸太郎

伊坂さんには珍しい、小学生の群像劇の連作短編集です。学生に付き物の悩みを取り上げながら、思いもよらない方法で伊坂さんらしく解決していくのが胸がすく思いです。 タイトル作の「逆ソクラテス」一番好きな話です。担任教師の態度によってクラスで低位に…

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 青柳碧人

初の青柳さんです。名前の読み方も「あいと」だと初めて知りました。童話シリーズ、海外版と日本版どちらにしようか迷って、評判のいいこちらにしました。 童話ってけっこう残酷だったり暗かったりするんだけど、そういうブラックな面をミステリーとして生か…

不祥事 池井戸潤

東京第一銀行の事務部臨店という、支店の問題を調査し指導する部署にいる相馬健と花咲舞のコンビが、問題を痛快に解決する連作短編集です。半沢直樹の登場する作品を読んでいないので、私にとって初の銀行物の池井戸作品です。ドラマを先に見ていたのですん…

2020 ベスト本

毎年紅白をバックに書いている1年の読書振り返り記事ですが、今年はいろいろあって少し早めにUPします。 今年は時間があったわりにはいつもながら本を読んでいません。時間があると、別の趣味の方に時間を使ってしまいます^^;特に海外物を全然読まなか…

ムシカ 鎮虫譜  井上真偽

禁足地である笛島に無断で上陸した音大生達が見舞われる災難を描いた、昆虫パニック音楽ミステリーです。こういうふうに書くととんでもない色物のように感じるけど、読み終わった時に感じる感動と清涼感はまるで「蜜蜂と遠雷」のよう。音楽に対する深い愛情…

クジラアタマの王様  伊坂幸太郎

久々に読んだ伊坂さんです。「逆ソクラテス」がミステリベスト10を賑わわせてますが、先に買ってたこちらから読みました。 主人公の岸、政治家の池野内、アイドルの小沢ヒジリの3人には、過去に同じ体験をし、同じ夢を見ているという共通項がありました。…

夜がどれほど暗くても  中山七里

政治家や芸能人のゴシップ記事を上げて来た週刊春潮の辣腕副編集長である志賀倫成は、息子がストーカー殺人を犯した上自殺するという事実を突きつけられます。今までそういった事件を追う側だった志賀は、追われる側となって初めて自分の今までの行動を振り…

一億円のさようなら  白石一文

ドラマに合わせて読み始めたけど、けっこうな大冊でドラマが終わるまでに何とか読み終われました←遅読 主人公加能鉄平が、妻の夏代が48億円もの遺産の持ち主であると知った事をきっかけに家族との関係を見直すストーリーで、妻との過去を振り返るシーンが…

怪奇大作戦ミステリー・ファイル  小林弘利

BSプレミアムでの再放送を楽しんで観ていて、ノベライズがあるということを知って読んでみました。 元々NHK放送のドラマですが、生理的にぞわぞわ来るようなグロ表現や、原初的な恐怖を誘発するようなモチーフの数々はNHKとは思えないほどです。そこが怪奇…

最後の証人 柚月裕子

ずいぶん前にドラマを先に観ていたけれど、原作を読んだ後で改めてドラマも観直し、視点が違う事に気づきました。 ドラマは事件の動機と実施方法が伏せられていて、それが焦点になっていますが、原作では法廷で当然明らかになるべきある事がミスリードされる…