2018-01-01から1年間の記事一覧

ミステリー・アリーナ  深水黎一郎

2016年のミステリベスト10を賑わわしたこの作品、どうやら今年の読書はこの本がラストになりそうです。(今日明日はもう諦めてる) ミステリ研究会OBが毎年持ち回りで出題し、みんなでそれを推理するイベントのために、参加者達は鞠子の屋敷に集まり…

愛なき世界  三浦しをん

キャッチコピーを読んで、有川さんの『植物図鑑』みたいな感じかな?と思って読み始めたら、だいぶ違ってました。こないだまで放送されてたドラマ「僕らは奇跡でできている」の世界観に近かったです。T大大学院で植物の研究をしている本村紗英は、ひたすら…

ウツボカズラの甘い息  柚木裕子

初読みの柚月さん。先日再放送があった弁護士佐方シリーズ「最後の証人」を観たのですが、佐方のキャラが好きでした。 本作は嫌な話なのですが、やはりキャラが立ってる刑事のコンビ秦と中川のおかげで嫌さが軽減されてます。特に、中川は女性刑事ですが、最…

蛮幽鬼 ゲキ×シネ

WOWOWで先日の土曜に放送された「蛮幽鬼」。その日博多座で観た「魔界転生」の興奮も覚めやらぬまま、観始めました。観ていたら深夜になってしまったため、二回に分けて観ました。ネタバレもありますのでご注意ください。 モンテ・クリスト伯を下敷きに…

「魔界転生」観劇

テレ東の「執事西園寺の名推理」で、前から何となく好感を持ってた上川隆也さんのファンになり、「遺留捜査」や過去のドラマなど観るうちに大ファンに。 このタイミングで博多座に来た舞台「魔界転生」を観劇してきました。10月6日から28日までほぼ毎日…

むかしのはなし  三浦しをん

有名な昔話を下敷きに、「いま、『昔話』が生まれるとしたら」というコンセプトで書かれた連作短編集です。 「ラブレス」(かぐや姫) 多くの貴公子からの求婚を無理難題を突きつけて退け、月に帰って行ったかぐや姫を、なんと人気ホストになぞらえて書かれ…

第四の扉  ポール・アルテ

語り手のジェイムズと、ジョン、ヘンリーの三人は、家も近所で、家族ぐるみの付き合いもある親友同士です。 ジョンの母が、家の中で不審死するという事件が昔にあり、家には幽霊が出るという噂も。ジョンの父ヴィクターは妻のことが忘れられず、降霊術のでき…

DESTINY 鎌倉物語  監督 山崎貴

鎌倉は私にとって魅力的な場所で、特集していた雑誌を買ったこともありますが、問題は坂道の多さです。散策するのに乗り物ばかり乗るのも何だかなあ…と思って、いまだに行けずにいます。 この映画の鎌倉は、河童などの妖怪が普通に人間と共存している、まる…

猫ミス!

先日読んだ「dele」のタマさんがかわいいので、猫の本が読みたくなって、たまたま見つけたこの猫アンソロジーを手に取りました。ミステリなので、ただ可愛い猫を愛でるだけの話ではありません。可愛いのもあれば怖いのもあるし、切ないのもあります。 「…

dele2  本多孝好

同じシリーズの次の巻が出ていても、続けて読むことはめったにないのですが、これは、二人のその後が気になって仕方なくてすぐに手に取りました。 坂上圭司が運営している「dele.LIFE」は、死後誰にも見られたくないデータを、本人に代わって削除す…

dele  本多孝好

坂上圭司が運営している会社、「dele.LIFE」は、死後誰にも見られたくないデータを、本人に代わって削除する仕事を請け負っています。真柴祐太郎はそこのたった一人の所員。現在放送中のドラマでは、圭司を山田孝之くん、祐太郎を菅田将暉くんが演…

ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~ 監督 滝田洋二郎

佐々木(二宮和也)は、死を前にした人間が最期に望む思い出の料理を作ることを生業にする料理人です。 しかし、彼の元に、あるレシピを探してほしいという依頼が舞い込みます。 それは、戦時中の満州で、満漢全席を超えるフルコースのレシピを作成すること…

スケルトン・キー  道尾秀介

久し振りの黒ミッチー。抜群のリーダビリティーでした。 主人公の錠也は、子供の頃母を殺され、父親はおらず養護施設で育ちました。 自分が他の人間とは違い、恐怖を感じず、危険なことや不道徳なことを平気でできることに気づいており、それがエスカレート…

無貌の神  恒川光太郎

恒川さんの物語は、現実とは違う異世界なのですが、読み始めるとすぐにその世界に入っていけるのが不思議です。その独特の雰囲気は恒川さんにしか出せないものだなあと感じます。 「無貌の神」 深い森の中の小さな集落の人々は、顔のない神を信仰していまし…

ブログ十周年

8月7日、ブログ「木の葉郵便」は十周年を迎えました。 相変わらずの遅読で、忘れた頃に記事をUPするような感じで、ほそぼそと続けて参りましたが、よくまあここまで続けられたものです。 始めた頃に知り合ったブロ友さんの中にも、ずっとブログを続けて…

村上RADIO 8/5 ON AIR

きのうバタバタしていて聴けなかったので、今日radikoのタイムフリーを使って聴きました。 村上春樹さんは初めてのラジオDJだというのに、とってもスムーズなしゃべりで驚きました。「走る時に聴く音楽」がテーマなので、村上さんが日頃ジョギングの時に実…

スタートボタンを押してください

ゲームをテーマにしたSFアンソロジーです。 人気タイトル作のいくつかはプレイしたことがあるので、私も一応ゲーマーの端くれと言ってもいいかも。 ゲーム的な設定だけの作品から、ゲームと現実がクロスするVR的なもの、古き良きテキストアドベンチャー…

ミスト 短編傑作選  スティーヴン・キング

キングとの出会いは、短編集『骸骨乗組員』でした。その中の中編『霧』に魅了されて、それ以来キングの短編、長編を読みあさりました。ホラーというジャンルにこの頃はまったのもキングのおかげです。 最近はあまりホラーを読まなくなり、キングからも遠ざか…

悪徳の輪舞曲  中山七里

弁護士御子柴シリーズ最新作です。 過去に重大事件の当事者だった御子柴ですが、冷徹で凄腕の弁護士として名を馳せます。このシリーズは、御子柴がどういう思いで人生を送っているのかということと、だんだんと人間らしさを獲得したり、垣間見せたりする姿を…

空飛ぶタイヤ  池井戸潤

運送業者を営む赤松は、運送中のトラックのタイヤが外れ、そのタイヤが歩行中の親子の母親を直撃する事故を起こしたことを知ります。 トラックの壊れた部品を、トラックの製造会社であるホープ自動車に検査に出し、「整備不良」という結論を出したホープ自動…

22年目の告白 ―私が殺人犯です―  監督 入江悠

WOWOWで以前あったのを録画していて、ようやく観ました。韓国映画「殺人の告白」をベースにしているそうで、続けてそちらも放送があったのですが、録画はしていませんでした。 1995年に、未解決の5件の連続殺人事件が起こり、担当刑事の牧村(伊藤英明)は…

ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール

ベンの家の庭に現れた、あり合わせの部品を寄せ集めて作ったようなレトロなロボット。始めはアクリッド・タングという自分の名前と、オーガストと言う言葉しか話しませんでした。ベンの妻のエイミーは、タングを気にかける夫に愛想を尽かして出て行ってしま…

検察側の罪人  雫井脩介

木村くんがベテラン検事の最上、二宮くんが新進気鋭の検事である沖野を演じる映画が公開予定の話題作です。 2人を思い浮かべて読むと、けっこうイメージ的にはまるかもです。 最上が法学部の学生時代にお世話になった寮母の娘由季が暴行されて殺されるとい…

風神の手 道尾秀介

久しぶりに読んだ道尾さんです。読んでない作品もいくつかありますが、すっとばして、評判の良い最新作に挑戦しました。 下上町(しもあげちょう)、上上町(かみあげちょう)という二つの町を舞台に、そこで行われた護岸工事で起きた事件と、遺影専門の写真館「…

ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ第8弾です。 今回の犯人は、個人情報を手玉に取って犯罪に利用します。ありもしない犯罪歴を付け加えて人を破滅させたり、自分の犯罪の証拠を人に押し付けて、その人を犯人に見せかけるのもお手の物です。 そんなサイバー犯罪者52…

7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー

新本格の作家さん揃い踏みで、有名な名探偵が活躍する作品と、変化球の作品で構成されてます。 『水曜日と金曜日が嫌い一大鏡家殺人事件一』 麻耶雄嵩 麻耶さんと言えばメルカトル鮎。 美袋三条は道に迷い、見つけた洋館に助けを求めます。そこで不審な人物…

肺都 エドワード・ケアリー

「肺都(ランドン)」とは、アイアマンガー一族の呼ぶロンドンのことです。 ロンドン中のごみが集められた屑山を管理するアイアマンガー一族には独自の掟があり、謎の多い一族でした。 その1人クロッドは、物の声を聞くことができ、2巻では、物を自由に動かす…

ホワイトラビット 伊坂幸太郎

誘拐組織の下っ端として働く兎田が、組織に自分の妻を誘拐され、組織の金を持ち逃げした折尾を見つけて連れて来いと脅され、折尾を追ってある家に立てこもります。 その「白兎事件」の顛末を描いた物語です。 伊坂さんには珍しい叙述の仕方で、事件を見通す…

屍人荘の殺人 今村昌弘

神紅大学のミステリ愛好会に所属する葉村は、会長で神紅のホームズと呼ばれる明智と、大学で探偵少女として有名な剣崎とともに、映画研究会の夏合宿に参加することに。 そこで起きた未曾有の事態により、参加者たちは外界との接触を断たれます。そして、殺人…