二流小説家  デイヴィッド・ゴードン

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ハリーは、いくつものペンネームを使い分けてジャンルの違う連載小説を書いている、あまりパッとしない作家です。しかし、死刑執行をひかえた連続殺人鬼から、告白本の執筆を依頼されるという大チャンスが彼に巡ってきます。

これは連載小説家(原題 The Serialist)が連続殺人鬼(serial killer)と関わるというシャレなんでしょうか^^;
全編が、ハリーの書いた小説という体裁になっているのですが、ところどころでハリーの書いたミステリやSFやヴァンパイア小説の一部が唐突に差し込まれるのはなぜなんでしょう…。
ヴァンパイア小説のファンとのミーティングや、作家としての彼の考えなど…雑多な物事と作中作が本筋と交互に書かれています。
真ん中近くになってやっと事件が起き、これからっていう時に作中作が出てくると「また?」ていう気持ちになりました。
本筋の事件を追うところは、タイミング良くはらはらさせられるような出来事が次々に起きて、なかなかのリーダビリティでした。

コロンボなど、ミステリ番組のおなじみの登場人物を次々に挙げて話すところは面白かったです。こういう遊びは大歓迎です。

事件と犯人の独白はグロいです。特に独白はかなりのページ数で、延々と聞かされると気が滅入ってきます。
ハリーが巻き込まれた1つ目の事件、インタビュー後、ハリーが忘れ物に気づいて取りに戻るまでの間に行うってムリじゃないですか^^;ハリーが戻ってくることも知らなかったわけだし、犯行中に鉢合わせっていうのが普通では。

ハリーは冴えない中年作家っていうわりには、周りには元カノだの、ファンだの、事件関係者だの、いろんな女性が必要ないくらい関わっているのですが、ビジネスパートナーである高校生のクレアは魅力的なキャラなので、もう少し中心に据えても良かったかな、と思います。

本筋は面白いので、それ以外の寄り道をどうとらえるか…
邦題の「二流小説家」としてハリーを考えると、この冗長さは作者の計算なのかも知れませんが。