狂骨の夢(電子版第3巻) 京極夏彦

電子版1巻、2巻を読み終わるのに2ヶ月もかかったのに、解決編に当たる3巻はあっという間に読み終わりました。

京極堂がどのように憑き物落とし(解決)をするのかワクワクだったし、今までバラバラだった多くの事件のモチーフがどのように繋がるのか興味津々でした。


「この世には不思議な事など何もないのだよ」という京極堂の決め台詞の通り、夢としか思えないような奇怪な出来事に、きちんと理由付けがされ、事件と結び付いていく京極堂の憑き物落としはいつもながら鮮やかでした。


五百年前や千五百年前の宗教的な蘊蓄を延々と語り出した時には、いったいこの話はどこに決着するのだろうと不安になったけれど、それも回り回って事件に繋がります。

事件関係者の妄執としか思えない行動に、宗教って怖いなと改めて思わされました。

この小説の発表時期って、ちょうど例のカルト教団の事件の頃なんですよね。京極さんも意識しておられた可能性もあるなと思いました。


朱美の正体については予想通りでしたが、まさかのそれを上回る事実がありましたね。

朱美と伊佐間とのラストシーン、何だか好きだったので2人が上手くいくといいなと思いました。


全体的に不気味なイメージが先行するので、明るく傍若無人な榎木津のキャラがありがたかったです。

特殊能力は特に発揮していなかった気もしますが(^^;


通して読むのに時間がかかり過ぎたので、最初の方を忘れたりしてたけど、志水アキさんの漫画に助けられました。原作の再現率が素晴らしいんですよね。

キャラクターもイメージ通りで、本の世界と同様に入っていけます。漫画の解決編は読まずに、原作を先に読み終わったので、これから漫画の方も最後まで読むつもりです。


久々の京極さん、久々の百鬼夜行シリーズでしたが、戻って来て正解でした。