dele3  本多孝好

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ドラマでは何事もないように戻って来た祐太郎だけど、やっぱり妹の事件についてのわだかまりは、原作では簡単には解けません。祐太郎の方も、圭司の方も。

本作は、妹の事件に大きく関わった夏目という人物に迫る「リターン・ジャーニー」と、今まで通りに戻ったdele.LIFEの日常というか新しい依頼についての「スタンド・アローン」中編二本立て。

 

「リターン・ジャーニー」は夏目という人がつかみ所のない人間のせいか、話自体もそうなってる気がします。事件がdele.LIFEで扱うには大きすぎる内容のせいか、今までの作品に慣れているせいか、楽しくは読めませんでした。最初の方にタマさんが出てきて数ページ分いてくれたことは嬉しかったけど。

 

「スタンド・アローン」では、祐太郎と圭司、それに前の事件で関わった中学生ナナミの3人で仕事をすることになっています。前の事務所の様子と違い、祐太郎は落ち着かないようだけれど、自分はナナミがいることに違和感はなかったです。二人の緩衝材になってくれるんじゃないかなと思ってます。

依頼が父親の名前だったために始めは気づかなかったけど、実は自殺した中学生の娘、唯の依頼だったことが分かります。子供からの依頼は無効ということでデータの削除をしないことにした圭司でしたが、ナナミと祐太郎は調べてみることにします。

ちょっと背筋が寒くなるような嫌な話でしたが、祐太郎と圭司が今まで通りやっていることにホッとさせられた作品でもありました。

 

夏目とはいつかまた直接対決しなくてはならないだろうけど、今回のような話ではなく、もっと身近な内容にしてほしいと思いました。