魔眼の匣の殺人 今村昌弘
前作で集団感染テロ事件に巻きこまれた葉村と剣崎は、それに関係する班目機関という組織の研究施設を訪れることにした。そこはかつて超能力の研究をしていたらしい。
その研究施設は真雁という地区にあることから「魔眼の匣」と呼ばれ、そこに住む予言者サキミの予言は必ず当たると言われていた。
男性2人、女性2人が死ぬ、という「サキミの予言は必ず当たる」ことを大前提に組み立てられたミステリーです。
自分がその当人になりたくないからという理由で、ほとんどの住人が村を逃げ出し、中の人間がそれ以上逃げられないように橋を焼き落としたことからできてしまったクローズド・サークル、という今回も特異な状況です。
設定はユニークだし、明らかになる人間関係や超能力も、途中までは面白かったのですが、後半の自分が予言の標的にならないための人数合わせの仕方が複雑すぎて、訳分かんなくなってきました。作家さんの頭の中では完全に構築されているのでしょうが、こちらが理解するのはかなり無理があるような…私がトンチキなだけかもですが。
トンデモ設定でトリックも少し無理があっても、前作の方が理解しやすく面白かったですね。
ただ、剣崎が葉村を守ろうとする思いの強さは伝わって来たので、次作(たぶんまだ続くはず)で二人に進展はあるのか気になります。