失われた町  三崎亜記

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わりと最近まで、作者は女の人だと思ってました^^;
「町」の意志で周期的に住民のほとんどが消滅してしまいます。その町に住んでいた家族や恋人を失った人たち、耐性を持っていたせいで消滅せずに残り、それを穢れとして差別されながら生きる人たち…
 町に取り込まれないために、悲しむことを禁じられた人々の静かな喪失感と困難にめげずに前向きに生きようとする姿に打たれます。

 原作を読んでいないのですが、映画の「黄泉がえり」に少し通じるものがあると思いました。日本的な情緒を感じさせた「黄泉がえり」に比べ、とてもSF的な設定で、聞き慣れない造語が次々に出てくることや独特な世界観は、読む人を選ぶと思います。

 読み始めたときには全く意味がわからないプロローグが、読み進めて行くにしたがって解き明かされて行きます。読み終わってもう一度プロローグを読むとちょっとじんとしてしまいました。
 プロローグとエピローグはあとで付け加えられたものだそうですが、エピローグの方はいらなかったかな、と思いました。7章で終わった方が、この物語の雰囲気に合っているように思います。