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☆ 木の葉郵便にようこそ ☆

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私設図書館も容量オーバー、本の重さが堪える年になったので、最近は電子図書を愛用していますが、本と読書への愛情は変わらないねこりんです。ヤフブロからお引っ越ししてきました。

 

読書をこよなく愛する皆さん、また、このブログを見て興味を持って下さった方とお友達になれたらと思っています。

 

映画、日々の雑感等についても載せています。

 

よろしくお願いします^^

飢渇の人 エドワード・ケアリー

             


アイアマンガー三部作で大ファンになったエドワード・ケアリー。

物に生命が宿るような作者の拘りと、作者直筆の少し怖く味のある挿絵も相まって、独特の世界観を構築しています。


これは日本で初めて編纂されたケアリーの初短編集です。

一作一作に彼らしさが詰まっていて、ケアリーの魅力に惹き込まれること間違いなしです。


全16編のうち、特に印象に残るのは、

「かつて、ぼくたちの町で」

巨大な豪華客船の建造に携わる人々が、船の魅力に魅入られて行く姿を、様々な視点から描いた作品です。

「もっと厭な物語」にも載っていた「私の仕事の邪魔をする隣人たちへ」

隣人を気にし過ぎる男がだんだんとエスカレートしていく様子が恐ろしいです。

「おが屑」

ギリシャ神話を元にした、お互いを心から大切に思う老夫婦の行く末は幸せだったのでしょうね。

「鳥の館」

鳥と機械でいっぱいの館を描いた、ケアリーの真骨頂と言える作品。

登場する大黒椋鳥擬という鳥は、実在の鳥だそうですが、何だか不吉な感じがして印象に残ります。

「パトリックおじさん」

超短編の中では特にユニークな発想が光ります。どれだけ奇抜な挿絵かと思うと、思いの外ノーマルなパトリックおじさんに笑ってしまいます。

「飢渇の人」

犀を心から愛するポールの、その愛情の物語。実在の人物だったとは驚きです。


短編集編纂にあたって、わざわざ書き下ろしてくれた作品もあるそうで、まだまだケアリーワールドには様々な住人が住んでいそうです。

次の短編集が早くも楽しみです。

エジソンズ・ゲーム 監督 アルフォンソ・ゴメス・レホン

                                     

 

カンバーバッチが発明王エジソンを演じた「エジソンズ・ゲーム」原題は「電流戦争」

直流を支持したエジソンと、交流を支持したウェスティングハウス(マイケル・シャノン)との戦いを描いたストーリー。

分かりにくいかと思いきや、思いがけず面白い作品でした。


実際安価で遠くまで電気を送れる交流の方が効率的で、こちらが現在の送電方法として選ばれているのだけど、ウェスティングハウスエジソンの発明した電球の素晴らしさは認めていて、手を組みたいと考えていました。

一方エジソンは、真っ向から対決する事しか頭になく、交流電気が危険で事故を起こしやすいと、動物実験を重ねる事で世間にネガティブな方向からアピールします。


偏屈なエジソンの性格が前面に出されて描かれているけれど、家族思いで妻や子供を大切にしているシーンもあり、意外な感じもしました。

 

また、儲かるからといくら周囲に言われても、絶対に兵器の開発に手を貸す事は拒否した彼の信念には心惹かれます。


エジソンは圧倒的なネームバリューで世間の支持を集めるけれど、交流方式を発明したニコラ・テスラウェスティングハウスと手を組んで事業を展開します。


ラストのエジソンウェスティングハウスの会話が心温まります。フェンスの例え話も良かったです。


エジソンは電流戦争には負けたけれど、そのあと映画(キネトスコープ)を発明したそうです。

エジソンに苦労させられたはずの助手のサミュエル(トム・ホランド)も、エジソンと一緒にいる事の面白さを語るシーンがあり、エジソンの頭の中には無限にアイディアが詰まっているんだなと確かにワクワクさせられます。


ベネさんは偏屈だけど才能溢れる天才を魅力的に演じていました。

当時の文化を表現したセットも美しく、見応えがあります。

取っ付きにくそうなテーマではあるけれど、一見の価値ありです。

ドクターストレンジ マルチバース オブ マッドネス 監督 サム・ライミ

        

 

久しぶりの映画記事。

ドクターストレンジ マルチバース オブ マッドネスを配信で観ました。

1は劇場で観たけれど、正直ラストのドルマムゥとの戦いが単調で眠くなりました。

小ネタに走り過ぎてテーマに一貫性がなかったのも問題だったと思います。


でも、今回はクリスティーンに去られたストレンジと、子供を取り戻したいワンダ(スカーレット・ウィッチ)の対決が愛を軸としたテーマだったので、一貫性がありラストまで集中して観ることができました。

アメリカ・チャベスマルチバース(多元宇宙)を行き来できるパワーを手に入れて、マルチバースを思いのままにする事で子供のいる世界を永遠に手に入れたいワンダ、どのマルチバースに行っても変わらずクリスティーンを愛し続けるストレンジが切なかったです。

昔の幸せだった頃の思い出が映し出されるシーンには号泣でした。

いつかはストレンジにも幸せになってほしいです。昔のストレンジとはたぶん違うはずだから…。

 

知的なベネさんにストレンジはハマリ役で、手から魔法を繰り出す姿もCGもパワーアップしていました。

音符を魔法に乗せて発するのがオシャレでした。


ソーサラースプリームにまで昇格したウォンが好きで、いい所でいつも助けに入ってくれるので安心して見られます。


1でも大活躍だったストレンジのマントちゃんは、気絶したストレンジをペチペチするものの起きないので自分でチャベスを助けに行ったり相変わらずの活躍で、可愛かったです。


マルチバースの扱いも分かりやすく、SF初心者でも楽しめるようになっていたと思います。


ラストの衝撃は次作への前フリなんだろうけど、なくても良かったかな。

 

にっぽん全国100駅弁 櫻井寛

              

今日は駅弁記念日だったらしい。

そんな日に読み終わったのがこの本です。

元々駅弁は大好きだけど、駅弁を旅の途中に食べる事はほとんどないです。

旅の食事は休憩を兼ねて落ち着いて食べられる店で食べたいので。

 

駅弁の良さは地域の名産が必ず入っている事と、パッケージを含め旅情が感じられる事。

だから、地元のスーパーなどで行われる駅弁フェアには必ず買いに行きます。

遠くに行かなくても楽しめるし、大規模なものだと、何十種類もの駅弁の中から選ぶ楽しみもあります。

毎回広告を見ながらにらめっこするのが恒例です。


広告から選ぶ時にはたいてい、肉系の弁当と海産物系の弁当とで悩むのですが、この本では様々な駅弁が取り上げられていて、一概に肉、海産物とは言えないのも魅力的なのです。


季節によって変わるおこわが入って、様々なおかずがぎっしりの「湖北のおはなし」は自分がいくつになっても飽きずに食べられそうな駅弁です。


野菜寿司など変わったご飯をメインにしていて、盛り沢山のおかずの龍馬弁も気になります。

 

チキンライスにたっぷりの唐揚げという、子供も喜びそうな東京駅の「チキン弁当」は50年以上前に発売になり、いまだに大人気だとか。


駅弁フェアではいつも悩む候補に入る「神戸のあっちっちステーキ弁当」付け合わせの野菜も、コーンや揚げポテトなどいかにもステーキで付いて来そうな物なのが良いですね。


海産物系で悩む北海道の駅弁 本では稚内の「最北海幸めし」でしたが、かに、イクラ、ウニは北海道の海の幸ベスト3だと思ってるので、これが揃って乗っていれば食べたくなるのも必然です。


作者の方は駅弁界では有名な方らしく雑誌に連載も持っておられるようで、その時同時に掲載されているのか駅弁漫画のワンシーンも共に載っているのがまた楽しいです。

地方の写真ともちろん駅弁の写真もとても魅力的で、駅弁の由来なども書かれていて読み物としても楽しいです。

駅弁好きの方全てにお勧めしたい本です。

化物園 恒川光太郎

              

ケシヨウという人を襲って食べる怪物が、現代や、過去の日本や海外、異世界など様々な場所に出没し、それと戦いまたは共存する人々を描いた作品です。


初めのうちはただ恐ろしいだけだったケシヨウが、別の話では人々を支え助ける事もあります。


ある話では不幸になるばかりだった主人公も、別の話では不幸な人生を経てはいても、最終的に幸せとまでは行かなくても生き延びて自分なりの生き方を見つける事もあり、どうなるかは最後まで読んでみなくては分かりません。

 

このうち、「猫どろぼう猫」のみ「猫ミス!」で既読でした。


特に印象的だったのはラスト2編の「日陰の鳥」と「音楽の子供たち」です。


前者は、過去の遠い国で不思議な力をもつ子供たちがケシヨウに集められ、高い土地で共に暮らします。

それなりに平和に暮らしていた彼らですがそのうちに政変が起き、それぞれがある決意を迫られます。


後者は、音楽の才能を持つ子供たちが外界と完全に隔離された場所で謎の存在に音楽を聴かせる事で生活します。

「術理」と呼ばれる魔法で閉ざされた箱を少しずつ開けて行く事で新しい物を手に入れたり世界が開けて行ったりする様子は、ブラッドベリの短編(萩尾望都さんも漫画化されてた)「びっくり箱」を彷彿とさせます。


だんだんとグレードアップする異世界度が実に恒川さんらしく、初めの方の作品が「ケシヨウが出現するだけの作品」になっているのも恒川さんの仕掛けだったのだなあと思わされました。


久しぶりに読んだ恒川さんでしたが、その世界観を堪能する事ができて大満足です。

黒牢城 米澤穂信

                                       

黒田官兵衛はリアタイしていた大河ドラマ軍師官兵衛」でなじみのある武将です。

だから、その時のキャスト官兵衛が岡田准一くん、荒木村重田中哲司さんで思い浮かんだのは当然と言えるでしょう。


最初、長編だと思い込んでいたのですが、思いがけず謎が早めに解けそうな展開に、連作短編集だと気付きました。

歴史ミステリーと言っても、歴史上の謎を解明するのではなく、設定を戦国時代に置いた歴史舞台ミステリーです。


荒木村重と言えば、家族と家臣を置き去りにして城から出奔した事で有名ですが、この物語の村重は、終盤近くなるまで臣の信頼厚く、魅力的な武将として描かれています。頭の回転も鈍くはないのですが、あと一歩の所で事件の核心をつく事ができません。


謎を検分し、8割方突き詰めて行くのは村重ですが最後にちらと顔を出して重要なヒントを授けるのが官兵衛です。

と言ってもまるで判じ物のようなヒントでこれを解釈する力がないと官兵衛の意図するところは分かりません。

安楽椅子探偵と言っていいのか…全然安楽でない土牢に押し込められている官兵衛ですが。


謎自体も消え去った矢の謎や、敵の首実検についての謎など、戦国にふさわしい内容です。

ストーリーが進む中で、首実検と褒賞の関わりなど歴史上の豆知識が身につくのも歴史好きには心惹かれるところです。


しかし、徐々に村重が家臣の信頼を失いかけて来た頃、全ての事件の繋がりが明らかになるとともに、官兵衛の村重に向ける私怨と大きな企みには衝撃を受けます。

また、全ての事件に関わっていたある人物の、生き地獄と言ってもいい経験にも胸打たれます。その経験こそが事件の引き金になっているのです。

 

ただ歴史を背景にしただけのミステリーではないと分かり、連作短編集として割に気軽に読み進めて来たのですが、重すぎる展開が待ち受けていて、主要人物が生き延びる事を知っていても胸が痛みます。


最後の一行まで読み応えのあるミステリーでした。

THE やんごとなき雑談 中村倫也

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ダ・ヴィンチでのエッセイ連載をまとめた物です。ダ・ヴィンチでずっと読んでいたけれど、今回新エッセイ&料理の「やんごとなき雑炊」の連載が始まったので、これを機会に読み直してみることに。

中村さんは何をさせても器用な人で、料理、文章、絵、歌、喋り、DIYと、本職以外にも山のようにできる事をお持ちなのです。

 

でも、ご本人も初の連載という事で幾分肩に力が入っていたようで、最初の頃のエッセイは、よく対談などで話されている、売れなかった鬱屈した時代について絞り出すように書かれていて、雑談にしては少々重い。

 

でもそのうち力が抜けて来たのか、家族のいい話が入って来ます。お父さんにプレゼントを買う話が好きです。

中村さんの仕事が順調な事について、お父さんから逆にお礼を言われるのとかほのぼの心温まります。

 

やがて、本当に雑談ぽくなってきて、彼の大好きな生き物についての話も入り始めます。ただ可愛いってだけじゃない、学術的な興味もふまえた生き物との接し方が、私の生き物への興味の持ち方とよく似ていて親近感を持ちます。

猫が飼いたくて仕方がなくなる「ねこ病」は、学術的な興味とは違うけどよく分かるなあ。中村さんは「いぬ病」や他の生き物のことも回ってくるみたいだけど、私は定期的にねこ病を繰り返しております。

 

そのうち、日常や友人の菅田将暉君のことなども書かれ始め、すっかりエッセイらしくなったあたりで終了。

 

文章の上手い人は、まず言葉選びが上手い。彼のエッセイを読んでいるとそう思います。

「田園風景が好きだ。眺めていると、ゆっくりと、ささやかに時間が過ぎていく心地がする」

「ゆっくりと」は誰でも出る言葉だと思うけれど、ここで「ささやかに」はなかなか出てこないと思うのです。こういう言葉が使えること、いいなあと思いました。

 

次の「やんごとなき雑炊」も楽しませて頂いています。