地球の長い午後  ブライアン・W・オールディス

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チルネコさんのところで感想を読んだあと、「これ買ってなかったっけ…。」と私設図書館を探してみると、ありました。嬉しくなって速攻読むことにしました^^

地球の自転が止まり、半面は昼に、もう半面は永久の夜になった世界。放射線が強まった太陽の下で地球上の植物は変異し、勢力を伸ばして行くとともに、動物は一部を残して死に絶えていました。そんな中、人類は放射線への耐性を身につけ、小さなグループを作って細々と生き延びていました。

驚くのは、変異した植物の描写です。ヒカゲノワナ、トビエイ、ヒルカズラなど、植物たちは自在に動き回り、脳こそないものの、簡単な神経系を備えていて、獲物を捕らえるためにありとあらゆる手段を繰り出してきます。出てくる種類も豊富で、生き物好きの読者なら必ず魅了されることでしょう。この世界では生活を支えているものが植物であり、また生命をおびやかすものも植物なのです。
また、植物蜘蛛であるツナワタリは、巨大な体を持ち、地球と月との間に糸を張り巡らせてその間を行き来します。それを利用してグループの大人達は月に渡ります。真空の宇宙を渡るには、植物の莢を利用するのです。この独特の発想には圧倒されます。

残された子ども達は、新しい生活の場所を求めて移動しますが、食肉植物やトラバチに襲われて次々に命を落としていきます。その中で反抗的だったグレンは、グループから追放されて、新たな冒険の旅に踏み出すことに…。

グレンに寄生したアミガサタケとの関係や、様々に変異した人類との出会いなど、物語は複雑な展開を見せます。読みながら私は「漂流教室」を思い出してしまいました。人類はいったいどこに行くのか…。もう一度安定した生活を手に入れることはできるのでしょうか?

とにかく、縦横無尽に広がるイマジネーションの海を流されるという感じで読み進めました。この物語の主役は明らかに植物ですね。私が買った版の表紙は角笛を吹く子どもバージョンですが、現在の表紙は本のイメージそのままの鬱蒼と茂る森です。
植物に襲われる話としてはジョン・ウィンダムの「トリフィドの日」(現在の題名は「トリフィド時代」)が有名ですが、こちらは個性的なリーダーに率いられたそれぞれのコロニーの動向がメインでした。

原題は「HOT HOUSE」ですが、ペーパーバック版の題名である今の題名の方が、長い時間をかけて滅び行く地球の運命を暗示するかのようで、しっくりくると思いました。





おぉ~私設図書館にあったんですねー。さすがSF好きなねこりんさんですね。なんか嬉しい~(笑)僕が読むようなメジャーSFは全部網羅してそうですね^^。生き物好きならこの奇怪な動植物の様々な形態に魅せられること間違いなしですよね。ねこりんさんの連想された『トリフィドの日』も読んで対比してみたくなりました!TBさせてくださいー。 削除

2009/6/23(火) 午前 0:42 チルネコ 返信する
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>チルネコさん
SFは大家のメジャーな作品がけっこう抜けてたりするので、これから少しずつ網羅したいですね^^;
「トリフィドの日」は面白いですよ。ぜひ読んでみて下さい^^ 削除

2009/6/23(火) 午後 7:35 ねこりん 返信する