Rのつく月には気をつけよう  石持浅海

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大学時代からの飲み友達、湯浅と長江、熊井の3人は、誰か一人ゲストを呼んで、長江の部屋で飲み会を開くのが恒例です。「悪魔の頭脳」と呼ばれる切れ者の長江が、食べ物に絡んだゲストの話から、日常の謎を解き明かします。

各話に出てくる、お酒と肴の組み合わせがおいしそうです。表紙がおしゃれなお酒の壜の絵なので、お酒が中心なのかなと思っていましたが、食べ物にも重きが置かれていて、これは空腹小説と言ってもいいんじゃないかと^^

「Rのつく月には気をつけよう」(生牡蠣&ウィスキー)
題は、牡蠣を食べるには、十二ヶ月を英語で表した時に、Rがつく月が良いという言い伝えからです。生牡蠣パーティーに参加したゲストが、以前に生牡蠣にあたった話をします。その背後に隠された思惑とは?
私の家族に牡蠣が食べられない人がいるのですが、あたった時に相当ひどく、二度と食べたくないと言ってました。だから、生牡蠣にあたったというのに、よくこのパーティーに参加する気になったな~と違和感を感じていたのですが、やっぱりそうだったのね、という感じです。

「夢のかけら 麺のかけら」(チキンラーメン&ビール)
熊井が、ビールのおつまみにチキンラーメンをそのまま食べる人の話をしたので、実際おいしいのか試してみることに。ゲストの塚本は、以前にチキンラーメンを大量にこぼして彼女に怒られた話をします。しかし長江はその話の矛盾点に気がつきます。
そんな隠蔽工作するより、ガムテープで取りますね…私なら。チキンラーメンをこぼしてもそんなに気にならないような人なら、カーペットに少しくらい取り残しの塩があっても気がつかないと思うんですが^^;

「火傷をしないように」(チーズフォンデュ&白ワイン)
同僚に義理チョコとして百円の板チョコを5枚渡したゲストに、ホワイトデーのお返しとして固くなったフランスパンが渡されます。その真意は?
これは、すぐ分かってしまいますが、この本の中で一番ありそうなかわいらしい話なので好きです^^

「のんびりと時間をかけて」(豚の角煮&泡盛
渡米する彼女が最後に作ってくれた豚の角煮は、いつもと違って固い失敗作でした。それに何らかのメッセージがこめられているのではないかと、ゲストの赤尾は言います。
私も以前豚の角煮の新しい作り方に挑戦して失敗したことがありますが、家族が「これはこれでおいしい」と言ってくれたのでホッとしたことがあります^^;
料理を失敗したぐらいで、「これにどんなメッセージが…」と思われたらうんざりですね^^;それを承知で書いてあるのですが、設定にちょっと無理があるような気がしました。

「身体によくても、ほどほどに」(ぎんなん&日本酒)
ぎんなんは喘息に効果があると言われているとか。ぎんなんを食べながらされたプロポーズに、喘息持ちのゲストは「身元調査をされたのでは?」と不安を感じます。
これもどうなんでしょう…ぎんなん一つに意味を持たせすぎという感じが^^;
不安の理由も、判明した内容も、なさそうだなあ…。
ぎんなんは大好きなので、食べたくなりましたが季節はずれでした^^;

「悪魔のキス」(そば粉のパンケーキ&ブランデー)
生海老にアレルギーがある、ゲストの知り合いは、飲み会のあと唇だけが腫れ、それは生海老を食べた女性とキスをしたからではないかと婚約者に疑われます。
私は全く食べ物アレルギーがないのですが、カニアレルギーの家族がいます。そばやピーナツアレルギーだと命の危険もあるので怖いですね。真相については、題名からも何となく予想がつきます。

「煙は美人の方へ」(スモークサーモン&シャンペン)
キャンプで急接近して、結婚することになったかつての飲み会メンバー。そのキャンプで長江が果たした役割を、湯浅の夫である冬木が解き明かします。
謎解きとは関係ないとこでびっくりしてしまいました。最初の表題作から出てきているのに、読んでいるうちにすっかり思いこまされていたある事実…。それが最後にひっくり返されました。

長江がかなり印象的なキャラクターです。確かにあまり恋人にしたくないタイプ…かも知れませんが^^;
ラストのどんでん返しと料理の描写が楽しめるし、気軽に読める作品でした。



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おっとコレ空腹小説なのですねっ!石持さんは一作だけ読んでどーんという印象だったのですが次読むときは本書にしておこっかな。チェキラー。 削除

2009/6/27(土) 午後 6:55 チルネコ 返信する
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石持さんにハマったときに入手して、そのまま熟成させてしまってました。このレビューを読んで、棚から引っ張り出そうと思いました 削除

2009/6/28(日) 午後 4:30 [ フェイフォン ] 返信する
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>チルネコさん
謎解きは石持さんらしい…^^;という感じですが、空腹小説としてはなかなかいいですよ。お酒が好きな人にも向いてると思います^^ 削除

2009/6/28(日) 午後 5:56 ねこりん 返信する
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>フェイフォンさん
石持さんにはまったんですね。だったら、ちょっと癖のある謎解きも大丈夫かもです^^
熟成してさらにいいお味になってるかもですね~(笑) 削除

2009/6/28(日) 午後 6:06 ねこりん 返信する
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本書は初めて読んだ石持作品で面白かった為、"ばっかり読み"のターゲットとしてしまいましたが、本書が今のところ一番好きです。
ラストには驚かされましたよね。やっぱり意図的だったのかな?
トラバさせて下さいね。 削除

2009/6/29(月) 午後 4:22 金平糖 返信する
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金平糖さん
おもしろい趣向の作品でしたよね^^人によっては飲み屋に直行したくなるかも。
最初に分かっていたはずなのに、読んでいるうちにいつの間にか納得してたんですよね~。それが最後にど~んと^^;
途中の記述を見ると、やっぱり意図的ですね^^; 削除

2009/6/29(月) 午後 9:52 ねこりん 返信する