TAP  グレッグ・イーガン

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ゆきあやさんのブログで挫折本についての記事がありましたが、それにコメントした時にはあまり思い出せなかったのですが、この本を手に取った時に思い出しました。グレッグ・イーガン「祈りの海」で挫折していたことを…。初めて読んだイーガンだったのですが、あまりに独自の発想に、読んだ当時はついていけなかったみたいです。でも、なんと言っても世界最高のSF作家と名高いイーガン、いつかは読破したいと思っていました。
この「奇想コレクション」なら、わりあい読みやすい作品が集められているのでは…と、イーガンに再挑戦することにしました。
それでもやはり恐る恐る?読み始めて、最初の「新・口笛テスト」がとっても面白かったので、「けっこうイーガンいけるかも~」と思ったのですが、やはりイーガン手強し!と後半になるにつれ思わされることになりました。

「新・口笛テスト」
誰にもありますよね、同じ曲が頭の中でぐるぐる回ってる状態。それが極限にまでなるとどういうことが起きるのか?ということを題材にしています。
こんな身近なことをイーガン流に料理するとこうなるわけですね。最高の効果を持つ歌の歌詞がとっても田舎ぽくて笑えます(笑)
これを最初に持って来たのは編者の作戦勝ちですね^^;

「視覚」
脳の外傷が元で、視点が天井から見下ろすようにしか見えなくなってしまった男の苦悩を描いています。
変わった発想ですよね…。主人公の仕事である映画のワンシーンのように、描写も非常に映像的です。

「ユージーン」
宝くじで大金を手にした夫婦は、体外受精で子供を作ることを専門家に相談します。すると、遺伝子操作で天才を作る提案をされるのですが…。
すべてプログラミングで人格が作られるとしたら怖いですね~。シミュレーションが一人歩きして行動してしまう展開もユニークです。

「悪魔の移住」
ウサギの脳に移植された腫瘍の独白という変わった体裁です。人間の医学の進歩のために日々犠牲になるラットやウサギの立場に立って主張した作品…だと思います^^;

「散骨」
事件の写真を撮ることを趣味&仕事にしている男は、ある残酷な事件現場に居合わせますが…。報道することの功罪について考えさせられる作品です。

「銀炎」
謎の伝染病「銀炎」の感染経路を突き止めようとする物語です。キングの「霧」でも描かれていましたが、未知の物に接し、それが圧倒的な力を持つ時、最後に頼るのはやはり宗教なんですね。

「自警団」
契約により、街で悪さをする者を食べても良いことになっている怪物が、契約が切れて解き放たれるホラーです。けっこうグロテスクで、こういうのも書くんだなと驚きました。

「要塞」
DNAの改変についての話がメインなのですが、これにオーストラリアの国内問題を絡ませているのでそのあたりを知っていないとよく理解できない話ですね。

「森の奥」
殺し屋につかまり、森の奥に連れて行かれようとする男が、何とか助かる道を模索する話です。精神同士をつなぐ神経インプラントによってアイデンティティが曖昧になるところがイーガン流ですね。

「TAP」
脳に作用して、どんな情景も一語で表現できる究極の言語を使用できるようになるインプラント「TAP」を巡る物語です。TAPを使用している詩人が殺され、その犯人を探偵が捜査するミステリ仕立てになっています。
「TAP」と、それに対する「VR」がどういう物なのかを理解するのにかなり時間がかかりました^^;結局「TAP」がもたらす未来への危機感と、その是非を問う内容だったと思うのですが、もっと簡単な表現で語れるのではないかな…と思いました。

難易度小→大の変化が非常にはっきりしてる短編集でした^^;でも、様々な作品に触れることができて、イーガン入門としては良い内容だったと思います。
次はやっぱり「祈りの海」でしょうか(笑)イーガン読みの方いらっしゃいましたら、おすすめの作品教えて下さい。


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本屋さんに行く度に目に入ってくるので、気になってたんですよ『TAP』。というか奇想コレクションは全部目に入ってきちゃうんですけどね(笑)しかもなかなかいいお味のようで^^。 削除

2009/12/8(火) 午前 1:17 チルネコ 返信する
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「祈りの海」はイーガンとしたら難易度低めかと思いますね。
難易度高いのは『ディアスポラ』『万物理論』でしょうか。
「しあわせの理由」が人気ありますよ。 削除

2009/12/8(火) 午前 1:18 きくや 返信する
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「祈りの海」は積んでいるんですが、、、挫折したんですかあ。来年読んでみますね。徐々にためている奇想コレクションは来年より攻略開始する予定であります!(笑) 削除

2009/12/8(火) 午前 9:37 [ テラ ] 返信する
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>チルネコさん
この表紙はどういう意味なのかと思っていましたが、「TAP」つながりでした。この女の子の存在重要なんです。
これを読んで、またイーガン読んでみようという気になったのでおすすめですよ^^ 削除

2009/12/8(火) 午後 7:32 ねこりん 返信する
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>きくやさん
「祈りの海」で難易度低めなんですね^^;それで挫折した私っていったい…。難易度高には手を出さずにおきます(笑)
とりあえず「祈りの海」に再チャレンジすることにして、その次に「しあわせの理由」を読んでみることにします^^ 削除

2009/12/8(火) 午後 7:34 ねこりん 返信する
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>テラさん
だいぶ前なので、どのあたりで挫折したかもよく覚えてないんですよね^^;今年はもう読めそうにないので、私も来年になると思います。
私も奇想コレクション積読がまだあるので、少しずつ読んでいきたいです。 削除

2009/12/8(火) 午後 7:39 ねこりん 返信する
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ぬお~、これ、先日1350円古本で発見したんですが、まだまだ高いです^^;;でも、それ言ってるといつまでも何も買えないんですよねえ^^;;「どんがらがん」も、中盤あたりから上級者向けになって行ったような。。 削除

2009/12/9(水) 午前 0:14 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん
私はネット古書店で買いましたが、同じく1350円でした。このシリーズは集めているので、これぐらいの出費は仕方ないかなと^^;
イーガンの上級者向けはまだまだこんな物じゃない予感も…^^; 削除

2009/12/9(水) 午後 7:16 ねこりん 返信する
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「祈りの海」を読む前に読んでしまいました(笑)
確かに難易度がハッキリしてましたね。色んな味わい方ができて入門としてはいいかもしれませんね。「視覚」の視点には唸ってしまいました(笑)これをステップにいよいよ「祈りの海」を、、、読めるかな?(笑) 削除

2010/8/7(土) 午前 9:42 [ テラ ] 返信する
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>テラさん
「視覚」、どうやったら天井から見えるのか…という問題はさておき、そのアイディアに脱帽です^^
「祈りの海」は最初の「貸金庫」の発想について行けるかどうかが勝負ですね^^; 削除

2010/8/7(土) 午後 5:33 ねこりん 返信する