南極料理人  監督 沖田修一

イメージ 1
海上保安庁で調理を担当している西村は、南極に行くはずだった隊員が事故で行けなくなってしまったその代わりに、ほとんどむりやり南極に行くことになります。個性的な男8人の中で、趣向を凝らして料理を作る日々が続きます。
 
西村たちが滞在したドームふじ基地は平均気温-50度以下、ひどいときは-70度にもなる山の上で、ペンギンもアザラシも、ウィルスさえ生きていけない極寒の地です。おにぎりを持って歩くとあっという間に凍り付いてしまうほどです。
そんな中で、雪氷学者や気象学者などが日々研究のために作業を続けます。でも、水を作るために凍った雪を切り出すなど、生活のために全員で協力しないといけない作業もたくさんあります。
こう書くと大変そうで、実際大変なのだと思いますが、映画では麻雀したり飲んで騒いだり、雪上野球をしたり、のほほんとしたシーンも多く出てくるので、何だか楽しそうにも見えます^^;でも作業が過酷で体力も消耗するだろうし、のんびりする時間がないとやっていけないでしょうね。
 
疲れて帰ってくる隊員たちを支えるのが西村の料理です。その一つ一つが南極での料理と思えない豪華さです。おにぎりも具がさまざまでほんとにおいしそう^^堺さんはテレビで自分の手がおにぎりを握るのにちょうどいいということに気づいたとおっしゃっていました。おにぎりの山の部分を作る鋭角がうまく作れるのだそうです^^
前の越冬隊が残していった伊勢エビが見つかった時、西村は「刺身がいい」と言ったのに、みんなの意見は「海老フライ」「エッビフライ♪エッビフライ♪」と言いながら作業をされたのでは、仕方ないですね^^;で、夕食には特大の海老フライが…。巨大な頭の部分が飾りについたアンバランスさが笑えます(笑)せっかく作ったのに、「やっぱ刺身だったな…」(隊長:きたろう)はないでしょ^^;実際はこの海老フライは絶品だったと堺さんのインタビューで読みました。
本さん(生瀬勝久)の誕生日のケーキや、一日中夜になる時に行われるお祭りで振る舞われた本格フレンチのコースこれを全部西村が一人で作ってるわけでとにかくすごいです。堺さんが料理をするシーンはいろいろと出てきますが、どこから見ても料理人で、やっぱり役者さんはさすがですね。
食べるシーンの数々を見ていると、食べるってほんと人間を幸せにすることなのだな~と思います。
 
喧嘩の仲裁に入った時に、西村が大切にしていた娘の歯が落ちてなくなってしまい、気を使った隊員たちが全員で料理を作るシーンは面白かったです^^その時作った唐揚げがべたっとして奥さんの作った唐揚げに似ていて、西村が涙するシーン、良かったです^^
 
気になったのは、隊員のみんなが料理を黙々と食べていて、絶対に「おいしい」と言わないことです。表情とかため息とか、演技でおいしさを表そうとする監督の意図だったのでしょうが、「おいしい!」とか「うまい!」とか、おいしい物を食べると無意識に出てきてしまう言葉だと思うので(ラストの西村のように)、すごく違和感を感じました。特にあの渾身のラーメンを食べて「うまい!」という一言が出てこないのは絶対変だと思います。みんながおいしそうに食べてくれること、それで西村は満足だったのかも知れませんが、作る側からするとやはり「うまい!」の一言は一番励みになると思うんですよね~。
 
このDVD、レンタル店ではコメディの棚にありました^^;確かに笑えるところも多かったですが、堺さんのキャラクター通り、ほのぼのとして温かい作品でした^^