オー!ファーザー  伊坂幸太郎

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高校二年生の由紀夫は6人家族。母一人子一人に、4人の父親が同居しているのです。誰かが本当の父親なのは間違いないのですが、父親たちがDNA鑑定を嫌がっているため、本当のところは分からずじまいです。
ある時父親の一人とドッグレースに出かけ、盗みの現場を見てしまったことから事件に巻き込まれることに…。

ゴールデン・スランバーからあとを第二期だとして、第一期最後の作品になるそうです。(作者談)テンポの良さ、洒落た会話の楽しさ、エピソードが見事につながり合う気持ちの良い展開と、確かに「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」などを彷彿とさせます。読みながら面白さについ顔がにやけてしまいました^^;田村麻呂なんて爆笑でしたし(笑)

まずキャラクターの造形が素晴らしいです。ギャンブル好きの鷹、美形で女好きの葵、格闘技好きの中学教師勲、冷静な大学教授の悟。葵、という名前から、源氏物語の逆バージョンかなとも思いましたが^^;
あり得ない家族構成なのですが、4人の父親たちがなぜかお互いに兄弟のように仲が良く、由紀夫に心からの愛情をもっています。それが由紀夫が真っ直ぐ育った理由でしょう。それぞれが違う得意分野と人生訓を持って由紀夫に接し、それを受け継いで育ったという感じです。

由紀夫が窮地に陥ったときの父親たちの勘の良さと、それぞれの持ち味を生かした行動がユニークです。共通の連絡方法が、今どきなさそうな手旗信号というのがいいですね(笑)ラストの脱出劇も、わざわざあり得ないような方法でしていて、活劇風なのもいいなあと思いました^^

由紀夫はそれまで干渉されすぎてうるさがっていたけれど、やはり肝心な時には父親を頼りにしていて、親子の絆を感じました。
伊坂さんは「重力ピエロ」や「ゴールデン・スランバー」でも父親を描いていましたが、どの父親も子供に対して揺るぎない愛情を持っていて、それが主人公達の支えになっていました。伊坂さんの父親像がとても好きです^^

友人の殿様、鱒二、鱒二の父親などもいい味出してました。多恵子だけはちょっとうるさく感じましたが^^;周りの人々とのエピソードのつながりは伊坂さんらしく、さわやかで、胸がすくような展開です^^

予想通り母親が姿を見せるのはラストでした。由紀夫の会話が、昔見たドラマのラストを思い出させました。ひと夏にすごくいろんな事があったのに、母親が戻ってきて「変わったことなかった?」という問いかけに「何もなかったよ。」と答えるシーンです。

これ映画化かドラマ化したら良さそうだなと思いました。鷹だけ、最初から頭の中である俳優さんに変換され、もうずっとその人で読んでました^^;「て○○○ ○○○」さんという人なんですが…一度読んでいる途中でTVをつけたらその俳優さんが出ているCMだったので、びっくりしたことがあります(笑)

伊坂さんは今までとは違う作品が書きたいという思いが強いようですが、こういう小気味よい作品もまだまだ書いてほしいなあと思います。好きな作品の一つになりました^^





会話やテンポはまさにかつての伊坂さんでしたね。それぞれ個性的な4人の父親をうまく使って構築した展開はさすがでした。第一期で描かれる父親像はいつも魅力的ですよね。男から見るとできすぎかもしれませんが(笑) 削除

2010/5/10(月) 午後 7:33 [ テラ ] 返信する
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伊坂さんの良い所が凝縮されたような作品でしたね。四人の父親のキャラももちろん良かったのですが、主人公由紀夫のキャラが良かったことで、周りの脇役キャラも引き立ったように思います。こういう伊坂作品がまた読みたいですね~。 削除

2010/5/11(火) 午前 1:21 べる 返信する
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>テラさん
鷹や葵が自分の父親だったらかなり困りそうですよね^^;4人いてバランスとれているかも(笑)いざという時頼りになる彼らは、確かに魅力的です^^ 削除

2010/5/11(火) 午後 7:26 ねこりん 返信する
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>べるさん
由紀夫は達観していてシビアな物の見方をしているようだけれど、素直な人の良さが感じられますね。やはり4人の父親と、母親の愛情のおかげでしょうね^^
やはり読んでいて楽しい作品が一番ですね。 削除

2010/5/11(火) 午後 7:39 ねこりん 返信する
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面白かったですね~(*^。^*)。こういう伊坂作品を求めてました。4人の個性的な父親と彼らの愛情を一身に受け育った由紀夫の心温まる物語がとても気に入りました。遊びごころも満載で、田村麻呂、笑えましたね。先日読了したばかりです(記事はまだなので後ほどTBに再訪問しますね^^)。ねこりんさんの中の鷹さんって…舘ひろし?でも字数が合わないし、これじゃ「あぶない刑事」だし(笑) 削除

2010/5/12(水) 午前 9:23 TEA♪ 返信する
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>TEA♪さん
気持ちの良い物語だったし、エンタテイメントとしても優れていましたね^^TEAさんの記事も楽しみにしています。
いえいえ、「て」で始まる名前なんですけど^^;字数も記事の通りです。 削除

2010/5/12(水) 午後 7:59 ねこりん 返信する
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て○○○が気になって夜寝られないかもしれません(笑)鷹さん結構好きだったんですよね~。あ、4人とも好きでしたが^^多恵子は少しイラッとするキャラでした。伊坂さんの女性キャラに時々そう思うことが^^;(アヒルと鴨とか) 削除

2010/5/13(木) 午前 1:25 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん
ゆきあやさんのために大ヒント!て○○○ す○○さんです^^
鷹さんいいですよね。実際に自分の父親だったらちょっと困るかもですが^^;
やっぱり多恵子イラッと来ましたか(笑)結局流されてる由紀夫が気の毒でしたね^^; 削除

2010/5/13(木) 午後 7:25 ねこりん 返信する
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日陰に暮らす僕にとっては(えっ?w)現在の伊坂作品はちと明るくて眩しすぎるようです^^;キャラクターもたってたんですが、そこまで強烈に印象づけられた感じもなかったですし。。。でも伊坂さんらしさは随所にありましたので、読んでよかったです^^ 削除

2010/5/26(水) 午後 11:55 チルネコ 返信する
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>チルネコさん
実は私も一番好きな作品はいまだに「オーデュボンの祈り」なんです^^;ああいう雰囲気の作品はもう書かれることはないかも知れませんね。でも、第二期に当たる作品も、伊坂さんらしい気持ちの良さは随所に感じられるので、まだまだこれからも期待して読み続けるつもりです^^ 削除

2010/5/27(木) 午後 6:52 ねこりん 返信する
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あぁ!「て○○○」さん、でしたか(恥)。結局気になってます(↑ゆきあやさんへのヒントからも推理できず^^;)。そんなこんなの間にようやく回ってきました!伊坂さんのこういう明るい雰囲気が好きな自分には素直にストライクでした。軽快で洒落た会話、4人の父親の愛情で育てられた主人公、伏線も読んでて心地よく楽しかったです♪TBさせてくださいね♪ 削除

2010/6/3(木) 午後 10:48 TEA♪ 返信する
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>TEA♪さん
この俳優さんは「踊る大捜査線」の映画のシリーズにも出てますよ^^
伊坂さんの次の作品、「バイバイ、ブラックバード」も楽しみですね。軽快な作品だといいんですが。 削除

2010/6/3(木) 午後 11:44 ねこりん 返信する