洋梨形の男  ジョージ・R・R・マーティン

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大河ファンタジー氷と炎の歌」で有名なマーティンの、ホラー&SF短編集です。奇想コレクションの中ではかなり読みやすい部類だと思いました。表紙が気持ち悪いと思ったけど、想像した物と違ってました。でも、これはこれでイヤな感じです…^^;

「モンキー療法」
太っているのに食欲を抑えられないケニーは、友人から「モンキー療法」の話を聞き、ある店を訪れますが…。
キングの「痩せゆく男」を思い出しますが、こちらはちょっとユーモラスな感じです。必死で食べ物を奪い合う様子に苦笑^^;

思い出のメロディー
題から受ける印象とは全然違う話です。メロディーは、主人公が男女4人で一緒に住んでいた時の仲間で、今はトラブルメーカーになった女性です。
現実にもこういう人はいそうですね。邪険にもなかなかしづらいし、巻き込まれた人達が気の毒です。

「子供たちの肖像」
作家である主人公は、娘と不仲になり、別居しています。娘は父親の作品の登場人物を描いた絵を送りつけて来るのですが、ある日その登場人物が実際に現れます。
それは父親の罪悪感から来る幻想なのか、それとも…。売れなくなった作家が、周囲を犠牲にしてまで書こうとする執念が恐ろしいです。

「終業時間」
謎の護符を手に入れた男たちの、酒場の小話風のお話です。護符の持ち主になると、体に変化が…。でも何でそっちにつながるの?(笑)

洋梨形の男」
体型が洋梨に似ていることから「洋梨形の男」と呼ばれる男の近くに住むことになったジェシーは、男に恐怖と嫌悪感を募らせます。
だんだんとジェシーが精神的に追い詰められていく様子が怖いです。あるスナック菓子が恐怖を高めるのに効果的に使われていて、しばらくそれを食べる気にならないかも…。

「成立しないバリエーション」
大学のチェスクラブの元メンバーが、久しぶりに集まることになります。招待したのは、かつて大勝負で負け、みんなの非難を浴びたメンバーでした。
チェスは全然分かりませんが、物語として面白かったです。不仲な主人公夫婦、仕事の失敗、チェスの試合などのエピソードがSF的ガジェットでつなぎ合わされます。ラストの展開も前向きな感じで良かったです。

特に印象に残ったのは「子供たちの肖像」「洋梨形の男」「成立しないバリエーション」です。SF&ファンタジーの印象が強い作家さんなので、このホラー寄りの多い作品集は意外な感じでした。「タフの方舟」のシリーズが評判がいいので、次はそれを読んでみたいです。