バイバイ、ブラックバード  伊坂幸太郎

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借金で追い詰められ、誰かの不興を買った星野一彦の前に、繭美という巨体の女性が現れます。彼女は一彦に、謎のバス(恐ろしい事が待っているらしい)に乗るように言いますが、その前に、つき合っている5人の女性に別れを告げに行くことに…。

応募で選ばれた50人の人に、毎回作品が郵便で届けられた「郵便小説」です。伊坂さんによると、「無理やり笑って別れを言うような小説」だそうです。なるほど、その通りだなあ、と。
5人の女性と同時につき合っているなんて最低だと思うし、知り合うきっかけも純粋なんだか作戦なんだか分かりません。でも、憎めないんですよね。女優の睦子が言ってたように、誰にでも一生懸命な感じ、それが一彦という人間の魅力なんでしょう。近くにいたら腹が立ちそうな気もしますが^^;

そして何と言っても、この作品の魅力?は繭美という強烈なキャラクターの存在です。
身長180cm、体重180kg。人を言葉で傷つけるのを何よりの喜びにしていて、気に入らない単語を黒く塗りつぶした辞書をいつも持ち歩いています。
事あるごとに、「わたしの辞書にはその言葉は載ってないんだよ!」と辞書を持ち出して見せつけてくるのが変です^^;変と言えば何もかも変なのですが…(笑)
一彦の繭美評「こちらの常識を超えた、まったく別の星の存在、人類が生まれる前に活躍していた恐竜に近い生き物」というのがおかしいです^^;
私は○ツコ・デラックスをずっと思い浮かべて読んでましたが、もっと人智を超えた存在なんでしょうね…。(追記)あとで他の人の感想読んでみたら、みんな○ツコさんを思い浮かべていたので笑いました(笑)
「この人(繭美)と結婚するから別れてくれ」と言われて、納得できる女性が何人いるでしょう…。でも、この物語の中では意外にスムーズに別れる方向に進んでます。
「Ⅰ」では嫌悪感しか感じなかったのですが、章が進むにつれて、繭美のいろんな面が見えてきて、一彦と同様、彼女の存在に慣れて、何となく親しみさえ湧いてきます。

「Ⅱ」の当て逃げ犯を探す話、「Ⅴ」の女優さんの話が特に好きでした。サンタの服を着た繭美を想像するとおかしいですが、子供が見たら泣くだろうなあ…^^;「Ⅴ」は伊坂さんらしいエピソードのつながりが爽やかです。
キャラクターとしては、「Ⅲ」の如月ユミが好きでした。一彦のことも繭美のことも何も気にかけずに、ロープを肩に颯爽と歩く姿、かっこよかったです^^さすがの繭美も彼女には一目置いていたようですね。

ラストの10回キックにもやられましたね~。一彦が繭美の提案を断るのはそうだろうな、と思っていましたが、まさか繭美が…です。「Ⅰ」では悪趣味なシーン(と私には思えた)が目につきましたが、それがラストまで来ると全てぬぐい去られた感じです。
「バイバイ、ブラックバード」というのはジャズの名曲だそうですが、この歌詞のように、一彦が不運と別れられるのか…そうであればいいですね。

第二期に入って実験的な作品が多かったけれど、この作品はきっと多くの人に受け入れられるのではないかと思います。同時発売の「『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために」も気になってきました。



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お、読まれましたね。第二期としては読めそうな感触のようですね。実は既に持っているんですがどうしても2ページ目くらいまで読んで先に進めずにいるんです。なので別の作品を読みながら時期を探っています。なんでだろう? 削除

2010/7/12(月) 午後 4:36 [ テラ ] 返信する
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>テラさん
私も「Ⅰ」が一番読みにくかったので…。2ページ目までと言えば、まだ繭美も出てきてないですね。繭美が出てくればかなり引きつけられる?のではないでしょうか。「Ⅱ」からはどんどん読めると思います^^ 削除

2010/7/12(月) 午後 7:54 ねこりん 返信する
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やっぱり○ツコさんですよね~
この小説を読んでしまうと映像化された時○ツコさん以外だと絶対に不満が残りそうな気がします^^

僕も『「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために』が気になってます。。 削除

2010/7/15(木) 午前 0:18 [ アル・アル ] 返信する
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>アル・アルさん
ですよね~(笑)もう○ツコさん以外は考えられません。伊坂さんはどうなんでしょう…あて書きじゃないんでしょうか^^;
「『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために」は図書館には入りそうにないし…中古で出るといいんですが。 削除

2010/7/15(木) 午後 6:31 ねこりん 返信する
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『~より楽しむために』はあと一人待ちです。入荷してるとは思わなかったのですが、検索してみたらあって、しかも予約が一人しかいなかったのでびっくりしました(苦笑)。繭美はどう考えてもマツコさんですよねぇ(笑)。彼女が必死になって地面を蹴っているラストシーンがとても好きでした。いい作品でしたね^^ 削除

2010/7/31(土) 午前 7:06 べる 返信する
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>べるさん
図書館に入ってたとはすごいですね。こっちは入る予定なさそうなのでどうしようかなと思ってます。
繭美の配役は確定してますが、一彦は堺雅人さんだという意見も他で読みました。それって「クヒオ大佐」からのイメージなんでしょうね^^;映画化してほしいなあ… 削除

2010/7/31(土) 午前 11:41 ねこりん 返信する
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私も、マツコさんを連想しながら読みました。歯に衣を着せぬ言い方、どう、想像しても、マツコさんですよね?最初は毒に感じていましたが、どんどん可愛らしく快感に思えるようになってきたのが不思議です。
トラバさせて下さいね♪ 削除

2010/8/6(金) 午前 9:42 金平糖 返信する
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金平糖さん
やはりそう思われましたか(笑)読んだ人がこんなにも同じ人を思い浮かべる作品はないんじゃないかと。私も1話を読んだ時には、うわ~この人何^^;と思いましたが、読み終わって、マツコいえ繭美なしには考えられない物語になっていました^^ 削除

2010/8/6(金) 午後 8:45 ねこりん 返信する
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仰るとおり繭美が出てきてからサクサクト読めました。なんと言っても繭美ですね。強烈なキャラでしたがラストに向けての微妙な変化がうまく描かれていたと思います。後半のストーリーは伊坂さんらしい爽快さとホロリとさせるラスト続きでよかったです。実験が作品の発表の仕方だけでひと安心です(笑) 削除

2010/8/20(金) 午後 0:42 [ テラ ] 返信する
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>テラさん
繭美のキャラ最高でしたね♪これほど強烈な印象を残す人も、今までの伊坂作品にいなかったような気がします。ラストまでの展開は爽やかで伊坂さんらしかったですね。
次の「マリアビートル」はエンタメに徹した作品だそうです。楽しみですね^^ 削除

2010/8/20(金) 午後 8:00 ねこりん 返信する
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前作の「オー!ファーザー」に続いて、良い作品が続いて嬉しいですね!^^ マツコさんで映像化してほしい~~~^^でも、堺雅人だと「また?」ですよね^^;
とにかく不知火刑事が最高でした(笑)。細かいところまでこだわっている上、ラストシーンで綺麗に決まった素晴らしい作品だと思いました。 削除

2010/8/25(水) 午前 1:23 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん
漫画などに引っかけたネタがあって、それがまた楽しかったですね^^こういう遊び心のあるところ、大好きです。
堺雅人さんとマツコさんのかけ合いも見てみたい気がしますが…堺さんの困った表情が目に浮かぶようです^^; 削除

2010/8/25(水) 午後 5:46 ねこりん 返信する
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ほんと、繭美のキャラは秀逸でした。まさに人智を超えた存在ですね!辞書をコツコツ塗りつぶしている姿を想像すると笑えます^^
ラストもよかったですね~。満足いく読書となりました^^TBさせていただきますね。 削除

2011/2/9(水) 午後 3:41 lime 返信する
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>limeさん
昨年の伊坂さんの作品はどれも好きでしたが、一つ選ぶとしたらこれです^^キャラはもちろん、一つ一つのエピソードも良かったし、ラストも鮮やかでした。映画化の話、きっと来てるように思うのですが…マツコさんがOKしてくれるといいですね(もう決めてかかってる) 削除

2011/2/9(水) 午後 9:10 ねこりん 返信する