ゴールデンスランバー  監督 中村義洋

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待ちに待ったDVD化で、さっそく借りてきました。大好きな原作、大好きな俳優さんと、ベストマッチなこの作品を心ゆくまで堪能しました^^

宅配ドライバーの青柳は、親友の森田から「オズワルドにされるぞ」と忠告された後、本当に首相暗殺犯として濡れ衣を着せられていることに気づきます。そして仙台の街での逃亡劇が始まります。

優しくて人が良くて、でもちょっと物足りなくて、みたいな青柳を、堺さんがイメージ通りに演じています。この人がそんな大それたことをするはずがない、と関わった人に無条件に信じさせるような雰囲気を、堺さん自身が持っていると思うので、この役にはぴったりだと思いました。堺さん、とにかく走る走る^^;運動はお得意じゃないそうですから、大変だったと思います。下水管の中を通ったり転げたり、体力勝負のロケだったでしょうね。
青柳があちこちで同僚や見知らぬ人に助けられるところは原作通り気持ちが良く、テーマである人と人とのつながり、そして信頼を強く感じさせるものになっていました。
見せ場である花火のシーンは、青柳が公園に現れた時と、過去の花火大会でのシーンをカットバックで見せてとても印象的でした。堺さんのロマンティックなラブシーンは初めて見た気がします…^^;竹内さん演じる晴子に、ヘルメットのあごひもを引っ張られてびっくりした顔が、ふっと愛情あふれた優しい表情になるところが良かったです^^

捜査員の一太郎役の香川照之さんはもちろん存在感ありましたが、スナイパー役の永島敏行さんが怪演でした。台詞全然ないんですが、無言で銃を撃ちまくり、晴子をぶっ飛ばすその迫力。最後には自分が花火でぶっ飛んで行くのが笑えます(笑)
お父さん役の伊東四朗さんいいですね~^^頑固一徹、でも息子のことは誰よりも知っていると言い切るあの自信、伊東さんにぴったりで最高です^^
そして、キルオ役の濱田岳さん。濱田さんは今まで優柔不断な感じの役が多かったですが、これは異色の存在です。ワイヤーアクションは全て自分で演じているそうで、映画の舞台挨拶でもワイヤーを信じ過ぎてはいけない、と話していたのがおかしかったです(笑)
脇役の柄本明さんや、ベンガルさんもいい味出してました。大森南朋さんは晴子の夫役でしたが、これはほんのチョイ役なのでもったいないなあと思いました。

アヒルと鴨のコインロッカー」でも思いましたが、中村監督は伊坂作品のことをよく分かってますね。原作では暗示されていた首相暗殺の黒幕は、映画ではほとんど触れられていません。でも、この作品は、犯人は誰かということは二の次なんですよね。最も重要な2つの言葉「痴漢は死ね」と「たいへんよくできました」はこれ以上ないほどいいシーンになっていたと思います^^
ちょっとだけ残念だったのは「森の声」と、青柳の現在の生活についてが出てこなかったことです。この2つのエピソードは密接に関係してるので、一緒に省かれてしまったんでしょうね。
「アヒル~」の時のように、印象的なシーンでビートルズの「ゴールデンスランバー」が流れます。曲を聴きながら楽しめるのも映画の良さですね。

伊坂ファンにこそおすすめの映画です^^