インセプション  監督 クリストファー・ノーラン

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コブ(ディカプリオ)は人が寝ている間に潜在意識の中に入り、情報を盗む企業スパイです。大企業のCEOであるサイトー(渡辺謙)は、彼に仕事を依頼します。それは、ライバル会社の社長の息子ロバート(キリアン・マーフィー)に、会社を解体するという考えを植え付ける(インセプション)というものでした。

監督のクリストファー・ノーランのオリジナル脚本だそうです。それにしても面白い!原作なしでSF的設定がこれほど巧く生かされている作品も珍しいでしょう。
始めに浜辺に倒れていたコブが警備に見つかり、非常に年老いた男サイトーの所に連れて来られます。話しているうちに回想シーンになりますが、サイトーは若々しいのにコブの年はほとんど変わって見えません。ここでまずあれ?となります。これがラストへとつながる伏線なんですね~。

サイトーから依頼されたコブは、相棒のアーサー、夢の世界の設計士であるアリアドネ、他人になりすましてターゲットの意識を操作するイームス、鎮静剤で夢に入った者の意識を調整するユスフ、そしてサイトーの6人で、ロバートの潜在意識の中に入ります。しかし、意識を守るために防御策を講じていたロバートの護衛に狙われ、窮地に陥ります。普通なら夢の中で死んでも目が覚めるだけなのですが、夢の世界が何層にも分かれ、深い層に入っていると、死ぬと虚無の世界に意識が落ちてしまうのです。

飛行機の中である現実世界、車に乗っている夢の第1層、ホテルにいる第2層、雪山の第3層、コブの作った世界である第4層と、次々に深い層に降りていきます。(映画では第何層という言い方はされていませんが、分かりやすくなるので便宜上そう呼びます)深い層に降りるごとに時間が引き延ばされ、第1層では現実の5分が1時間です。第4層では何年もの時間が過ぎます。このアイディアが素晴らしいですね。設定が実に巧く使われています。第1層で車が橋から落ちるほんのわずかの間に、第2層ではアーサーが無重力世界で戦い、第3層では雪山での銃撃戦、第4層では…とさまざまな出来事が起きています。みんなが目覚めて現実に戻ってくる前に、ロバートへのインセプションは成功するのか、第1層で撃たれて重傷を負うサイトーはどうなるのかなど、ずっとドキドキしながら見ていました。
また、コブの亡くなった妻がコブの潜在意識の中に住んでいて、あちこちで邪魔をしてきます。なぜそういう行動を取っているのか、ということも大きな謎の一つです。
迫力あるシーンが満載なので、これは映画館で見るべき作品だったと思います。特に無重力シーンはどうやって撮ったんだろうと思うくらい良くできてました。

渡辺謙はメインメンバーの一人なので重要な役どころです。チョイ役だった「バットマン・ビギンズ」とは大違いです。負傷してからは少し台詞が減りますが、ほとんどずっと出ているし、印象的な演技を見せてくれます。
コブと妻、子供達のエピソード、ロバートと父親とのエピソードはいいです^^これらのおかげで無機質な映画になることが防げてますね。ロバートがとても真面目でいい人なので、騙すのがちょっとかわいそうでした^^;でも結局あれで良かったのかな?またコブと妻が自分たちの作った第4層で長い間過ごした幸せな時間について回想するところにはじんとさせられました。
ディカプリオは「シャッター・アイランド」の時より体重を落として精悍な感じになってました。ずっとこれで行ってほしいですね(笑)

ラスト、回り続けるコマが倒れてほしい!と思ったのは私だけではないはずです。この意味が知りたい人は、すぐにDVDを借りに行きましょう(笑)