まほろ駅前番外地  三浦しをん

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映画公開が楽しみな「まほろ駅前多田便利軒」ですが、本作はその続編です。多田と行天とともに個性的な脇役達が主役で活躍する話もあります。前作で、出ていってほしいと言うタイミングを逃したまま何となく同居を続ける多田と行天ですが、仲がいいのかどうなのかの微妙な距離感が相変わらずです。でも多田は行天を気にかけずにはいられない損な役回りで、行天も顔には出さないけれど、多田の所にいることが居心地が良いのでしょう。

「光る石」
自分より大きなダイヤモンドの指輪をつけた友人に嫉妬心を抱いた女性が、指輪を隠して困らせてほしいと依頼します。どっちもどっち…っていう気がしますね。そして行天がさりげなくとんでもないイタズラを仕掛けてるところが^^;

「星良一の優雅な日常」
若くしてヤクザとしての人望を集める星の、いかにもヤクザらしい暴力に満ちた日々と、彼女を大切にしている私生活のギャップが面白いです。何だったか忘れましたが、事件の真っ直中に母親から電話がしょっちゅうかかってきて、邪険にできない刑事のドラマ?があったのを思い出しました^^;

「思い出の銀幕」
多田が代理で見舞いに行っていた曽根田のばあちゃんの若かりし日の恋物語です。ばあちゃんにそんなドラマティックな青春が…驚きでした。思い出の中の人物を行天と多田に置き換えて話しているので、思い出話もキャラ読みできるというところが巧いですね~。

「岡夫人は観察する」
バスの間引き運転を見つけるために多田を雇っていた岡と、その奥さんの物語です。相変わらずつまらないことで雇っているなあと思いましたが、なるほど、そういうことだったんですか。奥さん鋭いですね。

「由良公は運が悪い」
両親に愛されていない由良少年は、その後が気になっていた登場人物です。前作で多田が由良に告げた言葉は、由良、行天、読者の全ての心に届いたのではないかと思えた素敵な言葉でした。両親は相変わらずでしたが、由良は強く生きているなあと思いました。多田の言葉に支えられているのでしょうか。行天を助けた一言も良かったです。

「逃げる男」
多田達は、別居中に亡くなった夫の遺品整理を妻から頼まれます。妻として完璧に一生懸命にやって来たのに、夫が求めていたのはそんな自分ではなかった…というのは皮肉です。そして衝撃的だった多田のフォーリンラブ!これは続編絶対ありそうですね。

「なごりの月」
インフルエンザにかかった母親の代わりに、子供の世話をすることになった多田と行天ですが…。
家庭についてのトラウマを抱えている二人には、大変な依頼だったんですね。特に行天の豹変振りには驚きました。前作で、行天は過去に折り合いをつけているのかなと思っていましたが、彼の傷は思った以上に深いようです。二人で過ごすことで行天もだんだんと癒されていくと良いのですが。

続きが気になるエピソードがいろいろ~。映画公開で原作に注目が集まるでしょうから、そのタイミングで続編も出てほしいですね。楽しみです^^