なぎなた  倉知淳

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なぎなた」「こめぐら」と二冊同時刊行の短編集です。
帯に「タイトルは内容と一切関係ありません」って書いてあるのが笑えます(笑)
カバーは片山さんのほんわかしたイラストです^^裏カバーを見ると、表の猫の部分だけが切り取られて丸の中に…って猫丸先輩?!でも、猫丸先輩が出てくるのは「こめぐら」の方なのでした^^;

「運命の銀輪」
コロンボを意識したという倒叙形式のミステリです。
作家である犯人が、自分を罵倒した共作者を殺してしまいます。事件の捜査に当たった乙姫警部は、名前と相違した死神のような外見と鋭い推理で、じわじわと犯人を追い詰めます。
乙姫警部のキャラが秀逸です。イケメン部下とのコンビも面白いです^^これはぜひシリーズ化してほしいですね。

「見られていたもの」
これ、物語前に作者の注で「気味が悪く不快なラストになっているので、苦手な方はお読みにならないで下さい」とあるんです。
どれだけイヤなラストが待ち受けているんだろう…とドキドキして読んでいましたが…。なるほど…そっちでしたか^^;
いろいろ仕掛けがある話になっているので、ミステリとして楽しめます^^

「眠り猫、眠れ」
子供の頃母親が離婚し、それ以来会っていなかった父親の訃報。亡くなった時の奇妙な状況をひもとくミステリと、死期を迎えた猫の様子を絡めた物語です。
猫好きな人にとって(私もそうです)特に胸を打つストーリーになっていると思います。

「ナイフの三」
巷で騒がれている幼女誘拐殺人事件の犯人らしき男を発見した主人公とその友達は、男を尾行することにします。
キャラ優先な感じがする話でしたが、やはり最初はシリーズ化を狙ってたそうです。
ちょっとこの展開は無理があったかも…。そんなことしたらよけい疑われるような気がするんですが^^;

「猫と死の町」
行方不明になった猫を探すポスターを貼ったあと、「猫を殺した」という男から電話がかかってきます。
う~ん…そういう気持ちになるものなんですか?“蓋然性”あるんでしょうか…^^;
意外性はありましたが(笑)

「闇ニ笑フ」
映画のラストに流される残酷な映像を観て、微笑んでいる女性の笑いの意味は?
脚本家を目指している、というとこで「ナイフの三」と主人公同じなのかな?と思っていたら、あとがきにそう書いてありました。
ラスト辺りで、それだけじゃ説得力持たないな、と思っていたことが、ラスト一行で裏打ちされるところがお見事です^^

「幻の銃弾」
ジャーロ」掲載ということで、翻訳物のパロディを狙った作品だそうです。
アメリカ大統領選のさなか、銃声が聞こえ、倒れた男が亡くなります。しかし、死体には銃創がなく、銃弾はどこへ消えたのでしょうか?
アメリカ人が言いそうなウィットに富んだ会話が翻訳物ぽい雰囲気を出しています。
ただ、被害者の身元を隠すためっていうのはいくら何でも無理だと思いますが^^;

ミステリ的には「闇ニ笑フ」キャラ的には「運命の銀輪」ストーリー的には「眠り猫、眠れ」雰囲気的には「幻の銃弾」が好きです^^

あとがきで作者が各編を解説してるのですが、これが楽しいです(笑)
よほど猫が好きなんですね~^^「ねこちやん」声に出すと確かにかわいいです(笑)
「こめぐら」の方がやや評判いいようですが、「なぎなた」もなかなか楽しめました^^「こめぐら」も続けて行きたいけど、他にも読みたいのあるし…悩みます^^;