光  道尾秀介

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タイトル通り、子供の頃のキラキラした、そして少し切ない冒険譚です。
多くの方が感じると思いますが、これは道尾版「スタンド・バイ・ミー」ですね。

大人になってから考えると、何であんなことに夢中になっていたんだろうなあ…ということってありますよね。でも、子供なりに一生懸命で。道尾さんはそういう子供の心情や情景をとらえるのが実に上手いです。
エピソードの1つ1つが、どこか自分の子供時代とつながっているようで、懐かしくなってしまいます。

章前のアームストロング船長と乗組員の会話も、夢と希望の象徴のようでいいですね。
これがあることで、物語が明るいものであることが予想できました。

そして、利一を始めとするキャラクター達が印象的です。これは何だか「20世紀少年」を思い出しました。男子数人に紅一点っていうメンバー構成も似ています。

キューリー夫人も、いい味を出しているキャラです。子供の頃、こういう感じの怖いおばあちゃんっていたような気がします^^;犬のワンダとのバトルも面白いです^^
でも、頼りになるパワフルさで、子供達と物語を支えています。
キューリー夫人のためにホタルを見せようとするエピソードが好きです。

デパートの大理石に埋まる化石…デパートで見つけたことはないけれど、博物館の大きな一枚ものの大理石にいくつものアンモナイトの化石が入っているのを見たことがあります。あと、TVで敷石に入っているという化石を観たことがあるので、実際そういうこともありそうです。

ラストは思わぬピンチを迎える大冒険ですが、今まで散りばめられた伏線が生かされ、道尾さんらしい展開になっています。

そして、各章のラストにある独白ですが、これにはやられました…^^;
巧いですね~。
これまでの章にもミスリードはありましたが、全体を通したこんな仕掛けがあったとは…。
ミステリではないですが、ミステリ的な驚きも楽しめる作品でした^^