たんぽぽ娘(海外ロマンチックSF傑作選2) 風見潤編

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ドラマの「ビブリア古書堂の事件手帖」、今日はコバルト文庫の「たんぽぽ娘」が取り上げられていました。

これは私が子供の頃からずっと大切にしてきた本です。
「海外ロマンチックSF傑作選」全3巻のうちの2で、3冊一緒に母が買ってくれたものです。ラインナップが素晴らしいのですが、絶版なので、中にはもう他では読めない作品もあると思います。
ですが、「たんぽぽ娘」所収のロバート・F・ヤングの短編集が、河出書房から奇想コレクションの一冊として5月に出る予定です。
ドラマの「たんぽぽ娘」は背表紙が白でしたが、私の持っているのはオレンジ色です。
でもかわいらしい表紙はそのままです。

好きな作品を紹介します。
たんぽぽ娘」(原題 The Dandelion Girl) ロバート・F・ヤング
44才のマークは、丘の上でたんぽぽ色の髪をした若い女性に出会います。彼女はタイムマシンで未来から来たと言います。惹かれ合った二人はまた丘で会う約束をしますが…。
もう、タイトルで惹きつけられてしまいます。そして印象的なこの言葉。
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
彼女が着ていたドレスの生地を表す「海の泡と綿菓子と雪を混ぜて織りなしたような布」
美しいイメージとともに心に残る素敵な物語です。

「詩」 レイ・ブラッドベリ
詩人であるディヴィッドは、新しい詩を渾身の思いで書き上げます。その詩は世界を封じ込めたように素晴らしい詩でした。
この物語の良さは、畳みかけるような展開のあとの、静かで少し切なく温かいラストです。ブラッドベリにしか書けない、本当に詩のような物語です。

「なんでも箱」  ゼナ・ヘンダースン
この本が人気なのは、「たんぽぽ娘」の他にこの物語があるからではないかと思います。
小学一年生のスー・リンは、ちょっと変わった女の子でした。「なんでも箱」と呼ぶ目には見えない箱をいつものぞき込んでいるのです。
この、「なんでも箱」をのぞいた時に広がる世界を表す表現が秀逸です。この中には、ほんとに全てがあるんだなという気持ちにさせられます。

その他のラインナップは、
「風の人々」 マリオン・ジマー・ブラッドリィ
ペンフィールドへの旅」 イリヤ・ワルシャフスキー
「われら誇りもて歌う」 ジュデイス・メリル
「チャリティからのメッセージ」 ウィリアム・M・リー
「翼のジェニー」 ケイト・ウィルヘルム

シリーズの1である「魔女も恋をする」、3の「見えない友だち34人+1」も好きな作品がいろいろあるので、いつかまた紹介できればと思います。