エンプティー・チェア  ジェフリー・ディーヴァー

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再開したライムシリーズが面白すぎて、続けて第3弾です。

脊椎の手術のためにノースカロライナを訪れたライムとアメリアは、男性を殺害し女性を誘拐した少年を捜索するように地元警察から要請されます。

今回の設定で面白いのは、表紙にスズメバチが描かれているように、少年ジャレットが並外れた昆虫好きで、行動や考えがほとんど昆虫の生態に基づいていることです。逃避行中も、その生態を使って何度も難を逃れるのが驚きです。

そして、町周辺をとりまく大湿地帯という設定が生かされ、追跡はより困難なものになっています。

ジャレットは本当に殺人犯なのか、女性を誘拐した意図は何なのかを焦点に物語は進みます。
そこにジャレットの無罪を確信したアメリアが絡んで事態は急展開を見せます。一方ジャレットの有罪を信じるライムは焦りをつのらせますが…。

逃走&追跡劇はデイーヴァーの真骨頂で、登場人物とそこにいるような気持ちでスリル満点で読めます。
また、ライムとアメリアが置かれた立場からの二人の苦悩も描かれ、読み応えがありました。
全体の80%まではほんと大満足だったのですが…。
ラスト近くからの、デイーヴァーおなじみのどんでん返し、今回はやり過ぎだったのでは?
登場人物みんな人間不信にならないかしら…それが心配です><
シンプルながら周到に用意された大仕掛けで、しかも納得できる内容だった「コフィン・ダンサー」と違い、終盤バタバタとしてしまった気がします。
ただ、ジャレットの家族の死の検案書について、「あれ?」と思ったことは、この展開で、なるほどそういうわけで…と分かるあたりさすがです。

また、登場人物紹介に載っていないある人物が、思わぬ形で顔を覗かせるのにも驚きました。

結局、今回もだまされてしまった…ということですね^^;
面白いけど、読みながら疑心暗鬼になりそうなのがディーヴァー作品の困ったところです(笑)