ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日  監督 アン・リー

動物園経営者の一家がインドからカナダに移住する時に船が転覆し、生き残った少年パイがベンガルトラとボートで漂流する物語です。
アカデミー賞で、監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞の最多4部門を受賞しました。
公開時は3Dです。

ややネタバレありますのでご注意下さい。






期待通り映像がすばらしいです。
トラのリチャード・パーカーはほとんどがCG(一部本物)ですが、毛並み、表情、動きともリアルで違和感がありません。夜光虫をまとって光るクジラの跳躍、イルカの群れ、海面から透けて見える魚影…見とれてしまう美しさです。そして嵐のシーンの迫力!スクリーンで観たかったです。

パイの生い立ちや宗教についての特異な考え方などもかなり長く語られていて、原作を大切にしていることがよく分かりました。

原作でボートの様子がうまく想像できず、パイとリチャード・パーカーの位置関係がよく分からずにいたのですが、なるほどこんな感じだったのかと思いました。布一枚が生死を分けたんですね。

リチャード・パーカーを脅威に感じながら、だんだんと心の拠り所にしていくところが、原作同様丁寧に描かれていて好感を持ちました。

ラスト、原作では動物の出てくる話、出てこない話のどちらが本当なのか分からない書き方がしてあって、「出てこない話」の方がもしかして…?と思わせるところが作者の仕掛けだと思います。
でも、映画では「出てこない話」がパイの語りだけで映像がないので、係官を納得させるための作り話だったんだろうなという感じが強いです。
だから、原作とはずいぶん印象が違ってしまいました。

ただ、係員の聞き取り調査で終わる原作と違い、227日間という漂流生活を乗り越え、幸せな生活を送っている現在が語られる映画の終わり方は良かったです。

パイを演じた男の子は17歳の新人で泳げなかったそうです。漂流シーンからは全くの一人芝居で、ほとんど水につかりっぱなしなので大変だったと思います。

迫力の映像は、ぜひ大画面のテレビでご覧下さい^^