目白台サイドキック 女神の手は白い  太田忠司

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軽妙なコンビミステリが読みたいと思って読み始めましたが、思いの外重かったです。

細いチェーンで首を絞めた後、手首を切り落とす連続殺人が起きます。
これは、以前起こった解決済みの事件に酷似していました。犯人はすでに自殺しているのに関わらず…。

伝説の刑事南塚に捜査を頼むため、無藤刑事は目白台の北小路家の屋敷を訪れます。
南塚は素晴らしい推理力を買われて警察にスカウトされた特例採用の刑事です。しかしほとんど出勤していなくて、北小路家に居候しています。
屋敷の主、北小路準と“腐れ縁”の南塚が、理系VS文系の不毛な論争を続けつつ、事件についてあれこれと意見を出し合うのが面白いです。

「サイドキック」とは名探偵のサポート役に当たる人物です。帯を見ると北小路がその役割のようですが、どちらかというと実際に南塚と捜査を行っている無藤の方が「サイドキック」らしい気がします。北小路は南塚とは対等なので、やはり“腐れ縁”というのがぴったり来ます。

また、個性的な使用人たちも印象的です。優秀そうなので、「貴族探偵」のように、そのうち事件解決に一役買うようになるんじゃないかという気さえしてきます。

南塚が出勤していない理由は月並みなのに、その背景が変すぎて^^;
このキャラ設定、これからもっと生きてくるんでしょうか?

南塚のキャラはユニークだし、推理やストーリーの過程もドキドキさせてくれますが、
ちょっと解決部分が弱いですね。
犯人は普通に読んでいけば、この人なんだろうな~と予想がつくんですが、その動機となると??
解明の積み残し部分は、南塚が言うように「よりスケールアップして近日公開」になるんでしょうか。もう続編が出てるみたいですが。

北小路の謎については、もう出てきた時に分かっちゃいました^^;
北小路に面会できない人もいるはずですが、そんな人が誰も出てこないので、無藤の“選ばれた人”感がいまいち薄いです。

続編を読んでみないと評価しづらいです。今後の展開が気になるという点では○ですね。