ミスティック・アイズ  監督 D・R・フッド

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主演作の「The Imitation Game」がトロント映画祭観客賞(最高賞)を取ったばかりのベネディクト・カンバーバッチ。最近お気に入りの俳優さんです。
「SHERLOCK」は何度となく観ていますが、他の作品も観てみたくて、少しずつ鑑賞中です。
完全ネタバレなのでご注意下さい。











デイヴィッド(ベネさん)とドーンは子供ができないのが悩みの仲の良い夫婦です。不妊治療にも通っているのですが、なかなか良い結果が出ません。
そんな中、デイヴィッドの弟のニックが現れて、一緒に暮らし始めます。

ニックは戦争のPTSDのために、夜中に歩き回ったりうなされたりします。そんな弟をデイヴィッドはいつも抱きしめてなだめます。
兄弟の密着度の高さに、何となく違和感を持つドーン。

この兄弟、親しいのか反目し合っているのかよく分からないんですよね。
ニックが来ていきなりデイヴィッドは、
「あいつは母親を階段から突き落とした」
とドーンに話します。
もしかして予防線?とも思ったのですが…。

二人の話にはけっこう食い違いが多くて。
飼っていたニワトリが犬にやられた時、お互い相手のせいにし合ってるし。
母親のことも、実は「突き落としたのはデイヴィッド」だとニックは言います。
どうやら兄弟は親から虐待を受けていたようなのです。
でも、ニックは「父親から殴られていた」と言うのに、デイヴィッドは、「ニックを母親からの虐待から守るために突き落とした」と言っています。
二人の密着度から考えると、兄弟として以上の何かがあったのではないか…?と想像させるものがあります。

PTSDに苦しむニックに優しく接するドーン。二人をデイヴィッドは意味ありげに遠くから見つめます。邦題はこの目線から来ているのかも。
ベネさんの緑がかった灰青色の、不思議な色の瞳がアップになる場面が多く、心揺さぶられます。
ちなみに原題は「WRECKERS」レッカー車のレッカーと同じ言葉で、「家庭を壊す者」というような意味らしいです。

夫婦の間にも不穏な空気が流れるようになって、デイヴィッドも時に感情を爆発させるように。このあたりのベネさんの演技、さすがです。

何度目かの不妊治療の通院で、原因はデイヴィッドにあることが分かり、それをデイヴィッドは前から知っていたことが明らかになります。
ショックを受けたドーンは、前から自分に気があった、近所のゲイリーと浮気をしてしまいます。
ストーリーの流れから言って、ニックと浮気をするのでは?と思っていましたが、思わぬ伏兵現るです^^;

その結果、ドーンは妊娠してしまいます。浮気したことが見え見えになるような、そんな不注意なこと何でするかなあ…とこのあたりも疑問なんですが。
で、もっと分からないのがデイヴィッド。妻の妊娠を受け入れ、「子供を産んでほしい」と言います。
もしかしたら、ニックの子供と思っていたのかも…?

ニックはいつの間にかいなくなり、子供が生まれて、夫婦は元の鞘におさまります。
そんなある日、ゲイリーの夫婦と出会います。ゲイリーが子供を抱っこするのを見て、デイヴィッドの表情に変化が…。
子供の顔がゲイリーに似てたんでしょうか、きっと気づいたんですね、この時。
その後のデイヴィッドが子供を高い高いするのが観ていて何だか怖かったりして。

ニックがいなくなったのが唐突すぎて、もしかしてデイヴィッドが殺しちゃったのかも?
と思いました。
結局、一番病んでいたのはデイヴィッドなのかも知れません。

だけど、「~かも?」と想像するばかりで、確かなことは何も明らかにされないんですよね^^;その辺が曖昧すぎて、もやもやと納得できない気分が残るので、精神衛生上良くないです^^;

謎多きベネさんの瞳と、イギリスの田舎の美しい田園風景を眺めて、こちらも精神のバランスを取りながら観るのが良いでしょう(笑)