ビブリア古書堂の事件手帳5~栞子さんと繋がりの時~  三上延

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ひさびさに続きを読んだのですが、そうそう、前巻で大輔が栞子さんに告白したんでしたね。
そして、返事は保留…と、大輔にとっては大変な状況になってる第5巻です。

今回取り上げられている本や雑誌は、
「愛のゆくえ」 リチャード・ブローティガン
彷書月刊」(本の情報誌)
「落穂拾ひ・聖アンデルセン」 小山清
ブラック・ジャック」 手塚治虫
「黒いハンカチ」 小沼丹
「われに五月を」 寺山修司
「詩集 普通の鶏」 木津豊太郎

バラエティに富んでますね。個人的にはブローティガンと「ブラック・ジャック」が嬉しかったです。
「愛のゆくえ」は未読ですが、「西瓜糖の日々」には感銘を受けたし、「ブラック・ジャック」は私も全巻持っています。この本に出てくる希少な号は残念ながら持っていませんが…。

物語としては「われに五月を」が面白かったです。
寺山修司の初版本の贈与を巡るストーリーですが、作品中の文章が心憎い使われ方をしてるんですよね。寺山修司の作品をよく知らなくても、その文章のきらめきを感じる事ができました。
門野澄夫のキャラがユニークです。はた迷惑な人ではあるんだけど、憎めないですね。

本についての謎を解き明かしながら、栞子さんと大輔、母親智恵子の関係が変化していく様子も描かれています。栞子さんが人間関係において一歩踏み出していく、だから「繋がりの時」なんですね。
「いや、俺も一緒に行けばいいじゃないですか」
大輔、なんてグッとくる台詞…よく言った!と思いました。
ラスト、過去のあの男が帰ってきて…不穏な空気で終わりますが、大輔がきっと栞子さんを守ってくれるでしょう。