火星の人  アンディ・ウィアー

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「オデッセイ」のタイトルで映画化され、アカデミー賞候補にもなっている作品の原作です。公開前にまず原作を読んでおこうと思いました。

火星でのミッションから撤退する時、事故で折れたアンテナが、クルーのマーク・ワトニーを直撃します。彼は砂嵐の中に消え、他のクルーは彼が死んだと思い火星から離れます。しかしマークは生きていて、火星の過酷な環境の中、たった1人で生き延びるすべを模索します。

この物語のすごいところは、リアル感です。生きていくのに必要な物はまず、酸素、水、そして食料。この3つを確保する手段には特に徹底的にこだわっています。
日頃蛇口を捻れば水が出る生活をしている私達ですが、宇宙では水も酸素も作り出して行かないといけません。2H2 + O2→ 2H2Oというこの合成式が、机上の物ではなく、宇宙では実際に生存に役立つのです。
アクシデントがあった時も、まずこの3つのライフラインをどのように復旧していくかという事が具体的に細部まで描写されています。

最も危ぶまれたのが食料の確保です。マークは植物学者で、前のミッションのクルー達が置いていったジャガイモを元に、栽培する方法を考えます。
野菜を育てるのには土が必要ですが、火星の土では野菜は育ちません。地球のわずかな土をまぜてバクテリアを増やすところから始まり、培養土にするまでにも数ページを費やすこだわりようです。

あと、地球との通信手段が始めはなくて、どうやって通信するかということも重要課題です。上手くいったり行かなかったり、その様子につい一喜一憂してしまいます。

とにかくどんなことも科学的な根拠に裏打ちされているのです。もちろん自分には技術的なことはほとんど分かってませんが、専門家が読んでも納得できるのでは?という気がします。
ライフラインの供給量と使用量についての計算もかなりの頻度で描写され、数学もサバイバルに必要なのだなあと、数学方面はほとんど放棄してる自分にも、その重要さが理解できました。

こう書いてくるとガチガチのハードSFで読みにくいのでは?と思うかも知れませんが、読者を助けてくれるのがマークのキャラクターです。こんなノリのいい宇宙飛行士、初めて見ました(笑)マークのログがストーリーのメインなのですが、話し言葉そのままで「イェイ!」って感じで楽しいです。困難な状況にあっても、ジョークを飛ばしながら、決して諦めず生き残る方法を考えていく前向きな姿にこちらも励まされます。
そして、マークを必死に助けようとする地球のスタッフ、ヘルメスのクルー達の姿も感動を呼びます。

作者は15才で国立研究所に雇われた天才肌の人で、宇宙オタク(本人談)なのだとか。ここまでディテールにこだわれるのが素晴らしいですね。
さて、次は映画です。文章では想像がつかなかった部分を実際に見られるのが楽しみです。



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SF版のロビンソン・クルーソーって感じでした。絶望的な状況下でも悲壮感を感じさせないマークのキャラがよかったです。 削除

2016/1/31(日) 午後 2:45 あややっくす 返信する
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これ、読みたいと思ってます。おもしろそうですよね。主人公の楽観的なキャラクターがいいと評判みたいですね。 削除

2016/1/31(日) 午後 7:41 beck 返信する
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あややっくすさん

ロビンソン・クルーソー、ほんとそんな感じですね。
マークのキャラのおかげで、ハードSFながらすごく読みやすくなってました。 削除

2016/1/31(日) 午後 8:59 ねこりん 返信する
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>ベックさん

600ページ近い大冊ですが、けっこうすらすら読めてしまいます。
考えたらすごい状況なのですが、マークのキャラのおかげで深刻な感じになりすぎないのがいいです。 削除

2016/1/31(日) 午後 9:08 ねこりん 返信する
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マット・デイモンがCMで孤独に頑張っている姿を観て気になっておりました。作者はプログラマーなんですよね?だから細部まで緻密でリアル感があるのでしょうか。 削除

2016/1/31(日) 午後 10:23 チルネコ 返信する
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>チルネコさん

サイトで予告を観ましたが、映像で観るとやはり迫力がありますね。火星のシーンはヨルダンらしいですね。
作者は科学的に正確かどうか丁寧に検証したということで、それでこそのリアル感なのでしょうね。 削除

2016/2/1(月) 午前 1:36 ねこりん 返信する
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観に行く予定です。ハリウッド版「DASH村」と呼ばれているとかいないとか(笑)。原作読みやすそうですね。 削除

2016/2/4(木) 午後 0:21 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん

600ページ近い大冊ですが、長さが気にならない面白さでした。
DASH村」なるほど(笑)
マークのこのノリの良さを、マット・デイモンが再現してくれているといいなあと思います。 削除

2016/2/4(木) 午後 8:21 ねこりん 返信する
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こんにちは
原作を読んでから映画というのがいいですね。
映画になると部分的につながって作品になるので
この本はわたしも気になっていました。
もっとも映画館にはめったに行かないので観るとすれDVDだと思いますが…
その前に中古書店に行かねば!

ねこりんさんの読書感想の書き方がさらっと内容に触れながら
おもしろいぞって言われているようでつい読みたくなってしまいました。 削除

2016/4/14(木) 午前 10:37 だいず 返信する
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>だいずさん

絶対原作を先に読もうと思っていました。原作のリアリティが映画でもしっかりと生かされていました。ただ、やっぱり細部まで描かれているのは原作なので、ぜひ読んで頂きたいです^^ 削除

2016/4/17(日) 午後 9:00 ねこりん 返信する