オデッセイ  監督 リドリー・スコット


火星でのミッションから撤退する時、事故で折れたアンテナが、「ヘルメス」のクルーのマーク・ワトニーを直撃します。彼は砂嵐の中に消え、他のクルーは彼が死んだと思い火星から離れます。しかしマークは生きていて、火星の過酷な環境の中、たった1人で生き延びるすべを模索します。

原作「火星の人」を先に読みました。科学的なリアリティーを徹底的に追求したハードSFではありますが、マークのキャラクターが明るく前向きで、しかもジョーク好き(笑)そのおかげもあって楽しく読めました。

映画は原作で想像が付かない部分を実際に確かめられたのが、まず良かったです。
火星の荒涼とした赤い砂地はヨルダンでの撮影だったそうですが、自分が想像する火星のイメージそのままで、よくそんな場所が見つけられたものですね。
ハブ基地の様子、なるほどこんな感じなのね…と思いました。原作では基地のテントとエアロックをつなぐ描写がけっこう出てくるんですが、「?」と思ってたので。
そして、ラスト近く、宇宙でのシーンは映像でこその迫力でした。


酸素、水、食料の3つのライフラインについては、原作ではどのように作り出して行くかということが丁寧に描写されています。ジャガイモ栽培についても、培養土にするまでに数ページを費やしています。映画ではそこまでの描写はありませんが、畑作りの大変さは伝わってきます。また、食料をだんだん切り詰めていって、たったこれだけ?っていうリアルさはやはり映像ですね。
原作では、食糧難に加え通信や移動のことで映画以上にアクシデントが起きるので、もっとハラハラさせられます。映画はあれでもまだスムーズに行ったほうです^^;

火星に1人残されながら、知識と能力をフル活用して、しかもめげず、落ち込まず^^
マークのキャラは、はじけ方はトーンダウンしてるものの、映画でも健在でした。マークが飽き飽きしていたディスコミュージック、けっこう彼に合ってるんじゃないでしょうか(笑)


「70億人が、彼の還りを待っている。」
この映画のキャッチコピーですが、上手いですね。マークを救出するという目的のために、地球の人々の心が一つになっている事を感じさせます。
映画ではヘルメスのクルーにもかなりスポットが当てられていますが、大きな決断をするに当たってのクルーの心情の描き方も良かったです。

マット・デイモンは1人きりのシーンばかりで、大変だったでしょうね。原作にない帰還後の講師としてのシーンは、もしかしてマットへのサービスだったのかも?と思いました。
あと、ショーン・ビーン。指輪ネタに合わせたキャスティングだったんでしょうか。今回は生きてる役で良かったです^^

これは原作が先でも映像が先でも楽しめると思います。アカデミー賞、どれかの部門で受賞するといいですね。