12番目のカード  ジェフリー・ディーヴァー

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リンカーン・ライムシリーズ6作目です。
成績優秀な高校生ジェニーヴァは、先祖である解放奴隷のチャールズについてレポートを書こうと調べている時、何者かに襲われそうになります。現場には1枚のタロットカードが残されていました。
ライム達は、彼女が高校に行く時にも護衛をつけて保護しますが、犯人は様々な手を使って執拗にジェニーヴァを狙います。

実行犯のボイドは最初から本名も明かされ、ジェニーヴァ、警察側と、犯人側の様子が交互に描かれます。巧妙な手口でジェニーヴァの周辺人物や、警察関係者の中にも被害者が出て、緊迫感が高まります。そして他にもジェニーヴァをつけ回す人物の影が…。

一番の謎は、犯人がジェニーヴァを狙う動機です。ライムは140年前にチャールズが関与していた事件が現在の事件につながっているのでは、と考えて調査を開始します。
ですが、これも二転三転。一筋縄では行きません。動機についての謎には最後まで引っ張られます。

物語の大きな背景となる140年前、チャールズが妻に送った手紙には、奴隷だった自分が「五分の三の人間」に過ぎないと見なされていた、ということが書かれていました。ですが、農園を譲り受けることができ、これからという時に犯罪者とされ財産を全て失います。彼が大きな秘密を抱えていた事も明らかにされます。チャールズは本当に犯罪を犯したのか、大昔の証拠を元に、ライムとアメリアが推理するのもユニークです。
全体を通しても、今までのシリーズにない、壮大なミステリーが楽しめます。

ただ、惜しいと思うのは、重要人物が終わりの方になっていきなり登場する事、タロットカードがあまり生かされていないということです。タイトルになってるくらいだから、もう少し出番があっても良かったですね。

ジェニーヴァと父親との交流、現場にいることに恐怖を感じるセリットー、新人警察官プラスキーの登場などのエピソードも見逃せません。プラスキー、ちょっと気になっていたのですが、今後のシリーズで大活躍するそうなので楽しみです。
また、ライムとアメリアのシーンでは、ずっとシリーズを読んできたファンに嬉しい出来事も^^
それを受けての、ライムの「五分の三の人間」についてのモノローグが深いです。

次は『ウォッチメイカー』です。今のところ1年に一作ずつしか読んでませんが、もう11作目まで出ているので、だんだんと追いついていきたいです。

ところで、きのうWOWOWでシリーズ第1作に当たる『ボーン・コレクター』を放送してたようで、ライムをデンゼル・ワシントンが演じてます。原作の描写から見るとライムは白人らしいのですが、以前観た時に、気難しいライムをデンゼルが上手く演じていたので、私の中ではライムはずっとデンゼルなのです^^
あとでオンデマンドで観直してみようかな?って思ってます。