ハリー・ポッターと呪いの子  J・K・ローリング 他

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ハリー・ポッターと死の秘宝』の19年後を描いた、ロンドンで上映された舞台のスクリプトです。ト書きもそのままなので、最初は違和感もありましたが、すぐにこの世界に入っていけました。

ハリー達は37才になり、息子や娘達がホグワーツに入学する年齢になっています。ハリーは魔法省の魔法法執行部で働き、ハーマイオニーは魔法大臣に就任、ロンは兄の店だった悪戯専門店を継いでいます。
ハリーの次男アルバスは、偉大な魔法使い2人の名前をもらった上、ハリー・ポッターの息子という重圧と戦っています。
ハリーは魔法界を揺るがす戦いに挑んだ日々から、父親として悩む日々へ。しかし、アルバスと親友スコーピオン(ドラコの息子)が、亡くなったセドリック・ディゴリーの父親から逆転時計(タイムターナー)を使ってセドリックの命を助けるように頼まれ、思わぬ冒険に踏み出したことから、ハリー達も巻きこまれて行きます。

思春期の子供とは何かと難しいものですが、ハリーは親の背中を見て育つことができなかったので、よけいに接し方が分からないのでしょう。手探りで、アルバスとの関係を築こうとするハリーが切ないです。

シリーズがだんだんと暗い方向にシフトして行ったので、初期の頃の冒険が懐かしくなることがあったのですが、本作では、アルバスとスコーピオンがあの頃を彷彿とさせる冒険をします。過去に行き、懐かしい人が次々に登場するのは、シリーズファンにとってわくわくする展開です。もちろん愛しのスネイプ先生も登場。
過去を変えることによって現在が大きく変わってしまうのはタイムトラベルではスタンダードですね。現在を変えないために、彼らが取った方法とは?

個人的に気になっていたのはハリーとドラコの関係です。死喰い人の息子として敵対関係にあった彼ですが、死の秘宝のラストではハリー達に会釈するなど、険悪ではなかったようです。
本作ではお互いの息子が起こした事件に動揺した2人が、ポッター家のキッチンで魔法対決するシーンが見ものです。このシーン、ぜひ当時のキャスト、ラドクリフくんとフェルトンくんで見てみたいものです。対決の後、ドラコが正直に自分の気持ちを語るのも心に残ります。

愛すべきキャラクター達の新たな物語が読めたのは嬉しかったです。でも、やはり親としてのハリー達よりも、自ら冒険の旅に出る彼らが見たいと思うのです。『ヤング・シャーロック』とか『ヤング・インディ・ジョーンズ』みたいに過去のエピソード出してくれないでしょうか。

過去のエピソードと言えば、今上映中のハリポタ新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、まだ観てませんが楽しみです。ハリーが授業で使った教科書『幻の動物とその生息地』の著者ニュート・スキャマンダーが主役です。五部作の予定だそうですが、明るく楽しい雰囲気で、ずっと子供も楽しめそうな感じなのが良いですね。