鴨川ホルモー  万城目学

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遅ればせながら、ようやく読みました~。文庫版の表紙だとチョンマゲ高村が主役みたいに見えますね^^;でも、映画版の帯がついてたので、山田孝之さんがチョンマゲじゃないから分かりましたが。

京都に千年続くという、「ホルモー」。それを受け継いで来た、京大、龍谷大、立命館大京産大の4つの大学が、厳密なしきたりに則りホルモーを行う様子と、ホルモーを行う京大青龍会の部内の恋愛模様を絡めた面白おかしくちょっと切ない内容です。

この本を読んで、「ホルモオオオォォォーッッ」という叫び声が頭の中にこだましなかった人はいないでしょう(笑)それほどインパクトありますね。
式神安倍晴明が紙をふっと吹いて呼び出すシーンが有名な使い魔のようなもの)である小鬼を呼び出して戦わせ合う、それがホルモーです。
人間同士は相手に触れることが禁止され、オニに鬼語という言葉を使って指示を出す、いわばシミュレーションゲームのような戦いです。物語内では鬼語は少ししか紹介されてませんが、映画ではいろいろと考え出され、それを駆使してホルモーが行われているようです。
集まった新入生十人が、ホルモーについて理解し、鬼語を覚えるのに一年。そしていよいよ実戦です。一人百匹のオニを従えての戦略や、攻撃を受けたオニがどのように変化するかなど、ディテールがなかなか細かいです。細かいといえば、ホルモーにまつわる言い伝えやしきたりについてもとても具体的に書かれていて、実際に京都にはこういう競技があるんじゃないかと思ってしまうぐらいです。京都のイメージからすると、他の地域の人間には分からない古式ゆかしい行事がいろいろとありそうな気がするんですよね…。
だけど、オニを喜ばせるための踊りや、オニの栄養補給用レーズン、例の叫び声などを見ると大まじめなのか脱力系なのか判断つきにくい競技です^^;

一方で描かれるのが主人公の安倍の心情です。最初、何をする部かもよく分からず青龍会に入った安倍ですが、それは同じく新入生の早良さん(の鼻)に一目惚れしたからです。鼻フェチっていうのがそもそも問題ありですね^^;その人の本来の姿をよく見ないままそこばっかり見てしまってるので…。
入部の動機といい、芦屋への反感といい、人間の小ささぶりが強調されてる安倍ですが、そんなところがほどよく読者の共感を呼ぶのかもしれません^^;私は高村の突き抜けた変さ加減が好きでしたが(笑)
凡ちゃんも気になるキャラですね~。凡ちゃんと安倍のシーンは好きでした^^今後かわいくなりすぎると凡ちゃんぽくなくなるので、いつまでも「黙れ安倍」的キャラでいてほしいです。
映画で大木凡人さんは出てくるのかちょっと気になります(笑)

森見さんの作品と同じく、京都の良さが前面に出てる作品だと思いました。2人の作品を読むと、京都在住の方がうらやましくなりますね。
続編の「ホルモー六景」も読むのが楽しみになってきました^^