ドラマ ダブルフェイス 潜入捜査編&偽装警察編

このドラマは映画「インファナル・アフェア」のリメイクで、TBSとWOWOWのコラボで2本に分けて制作されています。
TBSのドラマは、潜入捜査官として犯罪組織の中で生きる森屋(西島秀俊)を中心に描かれ、WOWOWの方は、犯罪組織の一員でありながらエリート警察官になり、組織に情報を流している高山(香川照之)を中心に描いています。

映画の香港オリジナル版も、ハリウッドリメイク版も観ていなかったので、新鮮な気持ちで観られました。
このあとネタバレありますので、ご注意を。










6年も織田組に潜入して心身ともに疲弊し、少しでも早く刑事に戻りたい森屋の心情が痛いほど伝わってきます。カウンセリングを受けている奈緒子と恋仲になり、「刑事に戻ることができたら乾杯しよう」とシャンパンを買って用意しているのが切ないです。
立ち姿に悲哀を背負っているというか、雨が似合う男という感じですよね…西島秀俊さんは。ネオンの光が反射する部屋で寝起きする様子がまた似合います。
すごくシリアスな西島さんを観た直後、西島さんが大福を笑顔で食べているCMがドラマ途中で入り、今ここで?と思いました^^;

森屋の上司である小野寺警視正角野卓造)が、唯一森屋が刑事であることを証明するデータを持っています。潜入捜査官をやめたがる森屋に、「データを消去してしまえばお前は一生ヤクザで終わる」と脅すのが最悪です。はっきり言ってヤクザとそう変わりないですね。

やがて取引や捜査の失敗から、警察内部でも織田組内部でも内通者の存在を疑うようになります。高山は別の上司から、内通者(つまり自分)を探すように命じられます。

織田組を壊滅させる証拠が見つかり、森屋は小野寺と連絡を取りますが、小野寺を見張っていた高山のせいで2人はビルの中で追い詰められます。
ここはほんとにどうなるのか、手に汗握る展開でドキドキしました。空から○○が降ってきたときは唖然です。

森屋をアニキと慕うヒロシ(伊藤敦史)が、最後まで森屋のことを信じて助けようとするのが泣けます;;


ここまでがTBSで、ここからWOWOWです。

高山が織田組組長(小日向文世)に拾われて育てられ、刑事になるまでの様子が語られます。また、織田から厚生労働省要人の娘である万里(蒼井優)に近づくよう命令され、一緒に暮らすことになります。
万里にだんだんと惹かれ始める高山。いつも親から見張られる生活で、「自分の生き方は自分で決める」と言い切る万里に、高山は自分の身の上を重ね合わせます。

織田への恩と、万里への気持ちの板挟みになる高山の心情を、香川さんがさすがの演技力で演じています。
ただ、香川さんがこの役ではちょっとうさんくさいというか、万里が安心してついて行くような感じに見えないんですよね…^^;
ドラマを明るくしてくれていたヒロシがいなくなって、鬱々とした人ばかり残った感じになってしまっているので、高山のキャラにもう少し陽の部分があればなあと思いました。

小日向さんは…怖いです^^;笑顔なのに怖いです。さすがです^^;
堺雅人さんも喜怒哀楽を笑顔で表す男と言われてますが、小日向さんもそんな感じです。

一方、刑事であることを証明する機会を失った森屋は、一発逆転を狙い、連絡してきた高山と手を組んで組織壊滅のために動き始めます。
組織から足を洗って、普通に刑事として生きたい高山と、刑事に戻りたい森屋の利害が期せずして一致してしまったわけです。
そして織田を葬り、全てうまく行ったように見えましたが…

う~ん、一番行ってほしくない方向に行ってしまいましたね…。
どちらもかわいそうすぎるというか…。
織田組こそ壊滅したものの、本当に自分が望んでいたことは叶えられずに終わってしまいました。
高山は犯罪者ですからまだしも、森屋の方はもう少し何とかならなかったんでしょうか。
映画ではあとで刑事であったことが証明され、名誉だけでも回復したという噂も聞いたのですが、ドラマではそれすらなかったです。
非常に見応えあるドラマだったので、ここが残念でした。

(ネタバレ終わり)








大ヒットしたというオリジナルの香港映画はどんな感じなのか観てみたいです。
WOWOW版は今度TBSでも放送があるそうですので、興味のある方はぜひご覧になって下さい^^