文・堺雅人2 すこやかな日々

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2009~2013年4月までのエッセイをまとめたものです。
禁煙記録の4年間という意味合いもあるようで、体作りや健康についてのエッセイが目立つのと、part1よりも、堺さんの学問への興味が前面に出た内容になっています。

バラエティに出演された時に、どこかの史跡を訪ねるというのがあったのですが、堺さんの話が分かりやすく楽しくて、一緒にそういう場所を歩いて歴史の話を聞けたらなあ…と思いました(単なる願望)

「タバコと近代」というエッセイでは、禁煙から派生して煙草の歴史について語り始め、「ヨーロッパの文化人のうち誰がタバコを吸い、誰が吸わなかったのか」などなかなか面白かったのですが、編集さんに「もっと分かりやすいテーマにした方が…」とやんわりとたしなめられてしまったのだとか。
でも、私のような読者に好評だったのか、これから後も、世界史や日本史の話はたびたび出てきます。

言葉にこだわる堺さんらしい内容としては、「やさし」という言葉の語源、「憂」と「優」という漢字の持つ意味についてのエッセイが心に残りました。昔そういえば聞いたことがあるなあとうっすら思い出しましたが、堺さんの筆にかかると、なるほどなあ…と深く納得してしまいます。

意外だったのは、堺さんが村上春樹さんの熱心な読者だということです。時代物やエッセイ、ノンフィクションがメインだと思っていました。
「『1Q84』の読書感想文を書く」というテーマで次々に挙げられる村上作品のタイトルを見ると、きっとほとんどの作品を読んでおられるのだと思います。
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」という、「ノルウェイの森」の印象的な一節が、ドラマ「ジョーカー」の役を演じる間、堺さんの頭にあったというのは驚きです。

撮影の裏話では、「武士の家計簿」の話が面白かったです。名人級の算盤の先生に来て頂き、始めはきちんと計算していたものの、数分であきらめたのだとか^^;それで、あとはいかに本当に算盤をはじいているように見せるかを必死に練習したそうです。 見せ方にも様々な工夫があるところが興味深かったです。そしてエアーそろばん、って(笑)
算数嫌いの歴史については、ふか~く共感いたしました(笑)

こういう茶目っ気のある話はあちこちに見られますが、シェークスピア作品の主人公を「ハムレットジャイアン30%、スネ夫50%、のび太20%」とドラえもんのキャラで説明してるのに笑いました(笑)でもこんな発想ができるってすごいですよね。

茶目っ気と言えば、大英博物館の展示物で遊んでいる写真に爆笑。やっぱり面白い人です。
面白いと言えば、堺さんの中学時代の友達の夏休みの研究、テーマがユニークすぎます。類は友を呼ぶんでしょうか。

連載中に東日本大震災が起き、エッセイの中にもそのことがたびたび出てきます。
「僕の仕事がだれかのチカラになればいいな」
という言葉に、伊坂さんの「自分にできることは小説を書くことだけ」という言葉を思い出しました。
演技や小説で癒されたり勇気づけられたりした人もきっといることでしょう。私の仕事は、だれかのチカラになっているだろうか?とふと考えてしまいました。

「リーガルハイ」のSPあたりでエッセイは終わっていますが、今は連載はしておられないのでしょうか?「半沢直樹」の話も聞きたかったんですが…。ぜひまた再開してほしいものです。