マイクロワールド  マイクル・クライトン&リチャード・プレストン

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生物学を専攻するケンブリッジ大学院生の7人はマイクロテクノロジーを扱うNanigen(ナニジエン)社に招かれます。
一方で、Nanigenの技術責任者であるエリックが行方不明になります。院生の一人で弟のピーターは、事件を追ううちに会社が関わる犯罪を知ります。
犯罪は招かれた院生全員の知るところとなり、CEOのドレイクは全員を〈テンソル・ジェネレーター〉によって約2cmに縮小し、ハワイの密林に送り込みます。
巨大な敵と化した密林の生物と戦いながら、脱出を目指す7人のサバイバルを描いています。

執筆途中で作者が亡くなり、その後をリチャード・プレストンが書き継いでいます。
生き物系&サバイバルということで、私の好みど真ん中のストーリーでした。
ジュラシック・パーク」のマイクロ版という感じです。

院生の専攻が生物学で、しかも毒物、植物、昆虫、蜘蛛、生化学等ジャングルを生き延びるのに都合良く(笑)専門分野が分かれているので、この知識を生かして窮地を乗り越えていくのが面白いです。

マイクロサイズの院生達にとっては、小さなダニでさえ膝にどんと乗せるような大きさです。
ひとつまみの土にも様々な生き物が存在しているので、生物に興味のある人には宝の山でしょうが、嫌いな人にとっては大変です。私は生き物が好きな方ですが、それでもかなり気持ちの悪い描写もあるので、虫がダメな人にはおすすめしません^^;
サバイバル部分は秀逸で、植物の毒を利用した武器作りや、アリやムカデとの死闘など、わくわくドキドキするシーンが満載です。
特に、ダンジョンのような狩りバチの巣の探索と、母バチとの攻防は面白かったです。
 
登場人物では、危険にさらされながらも、ジャングルと生物への探求心を失わないカレンが印象に残りました。

でも、残念なところもいくつか…。
ドレイクの犯罪を知ったにも関わらず、全員が易々と〈テンソル・ジェネレーター〉に乗せられてしまうところ。普通乗りませんよこれは。もう少し納得できる展開にしてほしかったです。
途中で、「え!?」という出来事が起こるところ。これはほんとにびっくりしてしまうのですが、「やられた!」というより、「それはないでしょ!」っていう方なんですよね…。これについては、その後の展開が読めなくなるという効果はあるとは思いますが。
この他にも、「ん?」と思うところがありますが、ネタバレになるので。

どこまでクライトンが書いていたか分かりませんが、クライトンの原稿を生かそうとするあまり、十分推敲しないまま出版してしまったか、プレストンの書き継ぎがいまいちなのか…。
生物学の生かし方が良かっただけに、もったいない気がしました。

最近のクライトンの作品は読んでいなかったのですが、「プレイ」と「Next」は気になる作品です。
機会があれば読んでみようと思います。