空飛ぶ広報室  有川浩

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航空自衛隊の有望な若手パイロットの空井大祐は、事故で足を痛めてパイロットの資格を剥奪されてしまいます。そして新しく配属されたのは航空幕僚監部広報室でした。一方、警視庁付きの記者だった稲葉リカは強引な取材態度が軋轢を生み、情報番組のディレクターに異動させられていました。
夢を断たれ、目標を見失った二人が、新たな自分の生き方を見つける物語です。

この本を買ったのは、ドラマが始まってからです。自衛隊にはあまり興味がなかったのですが、ドラマを観ると意外に面白くて…。
本を読んでみると、この物語は私のように「自衛隊についてほとんど知識がない」人のための本だなあと思いました。

さすがに空軍だとは思わなかったけど…幕僚って何?とまずつまずきました^^;
幕っていうのは「幕府」の幕と同じで司令官の陣地を指す言葉だそうです。幕僚は指揮官を補佐する者という意味で、幕僚監部広報室というのは指揮官を補佐する部である広報室ということになります。ちょっと勉強しちゃいました^^;

自衛隊への無理解から空井を傷つける言葉を言い放ったリカに対して、「稲葉さんに理解してもらうことが僕の仕事」と気持ちを切り替えて臨む空井に、まるで自分が言われているような気持ちになりました。
他国に攻撃されるとか、災害が起こるとか、有事の時に本当の出番が来る自衛隊。その時のために、日々訓練を重ねていながらも、本番が来ないことがやはり望ましいという複雑な立場の中にいるんだなと改めて知りました。

広報室は、一般の人々に自衛隊について知ってもらい、無知や偏見を少しでも減らすとともに、いざという時に職務の遂行がスムーズに行くようにするという役目を負っているんですね。

空井とリカが、周囲に支えられながら新しい部署にやりがいを見出していく様子に、何だか感動してしまって…この作品で泣くとは思いませんでした。すごく二人がキラキラして見えたんです。

二人を支えるメンバーがまた魅力的。何と言っても広報室長の鷺坂がいいです!こんなにミーハーで調子がいいのに、押さえるべき所はビシッと押さえるかっこ良さ!ほんと素敵です。ドラマで鷺坂を演じている柴田恭兵さんがあまりにもぴったりでした。この軽妙さは柴田さんにしか出せないと思います。
鷺坂だけでなく、登場人物の配役がどの人も適役で、びっくりするほどです。片山役の要潤さんとかはまりすぎ~(笑)
もちろん主役の綾野剛さんと新垣結衣さんも^^綾野さんは不思議ですね。どんな役でもはまって見えます。

最後に大震災後に書かれた「あの日の松島」という一編が付け加えられています。実際に被害を受けた松島基地を舞台にした物語です。自分たちも被害を受けて、精神的に脆くなりながら、懸命に活動する隊員の気持ちを描いています。作者の有川さんの思いが詰まった一編だなと思いました。

空井とリカ、絶対同志以上の気持ちを持ってるはずですが、微妙な距離感で(笑)ドラマではこの辺りどうなるのかな~と気になっています。続編が出ると嬉しいのですが。





ドラマしか観ていませんが、私も意外に面白く感じました。舞台は珍しいのにテーマはわりと普遍的で、共感し易いですよね。 削除

2013/5/19(日) 午後 4:25 大三元 返信する
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いつも読ませていただいてますが、なかなかコメントできなくて。
さすがにこれは読んだし、ドラマも毎週 楽しみにしています。

これは、リアル鷺坂さん?から依頼されて書いた、とか 有川さんが書かれてました。
さすがに空軍なんて言う人は(特にマスコミには)いないでしょうが、
知らないことも多くて 勉強になりました。

「あの日の松島」は、読むこちらも辛くなりました。
責任感溢れる彼らのことを、もっと私たちは知らなければいけませんね。
ブルーインパルスが震災を免れたのも、福岡の航空祭にという偶然の
産物。
ある意味それも、感動しました。 削除

2013/5/19(日) 午後 8:37 [ 白玉 ] 返信する
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大三元さん
そうですね。広報室という、私達にも取っつきやすい部署に注目した所が良かったですよね。
実際の航空自衛隊のサイトに行ってみましたが、すごく凝ったサイトで驚きました。ドラマへの協力のこともいろいろ載っていて面白かったです^^ 削除

2013/5/19(日) 午後 10:50 ねこりん 返信する
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>白玉さん
リアル鷺坂さん、有坂さんに企画を持ち込むくらいだから、かなりアクティブで原作に近い人なのかも^^
この本のおかげで、少しは自衛隊のことが分かるようになりました。
私達が安心して過ごせるように努力してくれている、大切な仕事なんだなあと改めて思いました。
読んで良かったです^^ 削除

2013/5/19(日) 午後 10:56 ねこりん 返信する
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自衛官にも色々な人がいるはずなので、有川ワールドというか、いい部分を全面的に出している本だなあと思いました。この本も広報の一貫なのだろうから当たり前だけど。ドラマだと俳優の親しみやすさや好感度などでもっと楽しめただろうなあとこの記事を読んで思いました。ラブ要素が足りなかったなー。 削除

2016/6/10(金) 午後 2:05 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん

そうそう、この本は、有川さんが自衛隊のことをもっと知ってもらいたいと思って書かれた広報の一環だと思います^^リカのキャラクターは極端だったけど、自衛隊への無知の象徴たるキャラなんでそうなったんでしょうね^^;
ドラマ良かったですよ^^ドラマは本よりラブ要素が高めでしたね(笑)本の方はいつか続編あるかも? 削除

2016/6/14(火) 午後 8:23 ねこりん 返信する