ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル  今野敏

イメージ 1

順不同で読んでる三作目ですが、実際色シリーズ三作目でもあります。
黄ということで山吹才蔵の出番です。薬物毒物の専門家で、家がお寺で本物の僧侶です。個性的すぎるSTのメンバーの中ではノーマルな方で、STのキャップ百合根の心の拠り所です(笑)

マンションの一室で練炭自殺したように見える4人の遺体が発見されます。4人は宗教法人「苦楽苑」の信者でした。
当主の阿久津昇観、NO.2の山県佐知子、苦楽苑から独立した篠崎雄助、亡くなった4人と同じグループで修行をしていた町田智也、彼らの人間関係の解明を中心に物語は進みます。
ドラマも観ましたが、篠崎を鈴木一真さんがやっていて、サスペンス系の怪しい人っていうとよくこの人が演じてますよね(笑)
町田は女性に変えられていて、これは山吹とのエピソードに関係していると分かりました。

町田が山吹の元で修行をしたいと言ったことから、なぜか百合根も一緒に修行をすることに。この修行がかなり本格的で厳しい物でした。仏教の教えや心のあり方についても、山吹からかなり詳しく語られます。この修行のくだりが、物語の要になる部分なんでしょうね。百合根もわずかながら、悟りの一端を開いたのかも…?

今回は青山のプロファイリング、黒崎、翠の嘘発見器を除いては、あまり科学捜査の出番はなかったですね。赤城も目立った働きはしてませんでしたし…。これだったらSTの捜査じゃなくても良かったかも。犯人に注目したきっかけもちょっと弱いかな?と思いました。

山吹が主役だけに、宗教色がやや強すぎましたね。でも、山吹の人となりを知るには良い回でした。
ドラマでは「あさが来た」でもおなじみ、三宅弘城さんがいい味を出しています。どちらかというと修行よりラストの犯人との禅問答に重きが置かれていますね。原作以上の山吹の厳しさと優しさにびっくりでした。そういう面ではドラマの方がインパクトあったかもです。