ジャック・リッチーのびっくりパレード

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短編の名手リッチーの、25編の作品が年代別に収められた短編集です。
犯罪に絡んだものが多いのですが、どこか軽妙で洒落た雰囲気があるのがリッチー流。

面白いのは、SF作品…というか、SF的設定の作品がいくつかあることです。
「殺人光線だぞ」はタイトルも人を食ってるし、内容もちょっとしたどんでん返しがあってクスッと笑える展開です。

リッチーの作品でおなじみのターンバックル部長刑事、なかなか素晴らしい推理力なのに、いつも推理とは全く違う結末になってしまうのがおかしいです(笑)

カーデュラ探偵社のカーデュラは、普通の人間ではありません。カーデュラの他の作品では、彼の特徴を生かしたストーリーが楽しいのですが、「名画明暗」はその特徴がそれほど目立ってないのがちょっと残念です。

読み応えがあったのは、リッチーの作品にしては珍しく重いテーマの「戦場のピアニスト」。二転三転するラストに驚きです。

リヒテンシュタインのゴルフ神童」、そういう意味で神童だったんですか…ゴルフに全く興味がなくても楽しめました。

「洞窟のインディアン」は作者の絶筆を息子が書き継いだものです。内省的な作品になってますが、リッチーが最後まで書いていたら、違う終わり方になってたかも知れません。

隙間時間に少しずつ読んできたのですが、そういう読み方がぴったりの作品集だと思います。前の短編集、「ジャック・リッチーのあの手この手」も評判がいいということなので楽しみです。