闇の展覧会―罠  カービー・マッコーリー編

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Amazonで本の検索をしていたのですが、下の方に「この本を買った人はこんな本も買っています」というのが出てますよね。「そういえばこの本持ってて読んでなかったな~」と…(そんなのばっかりですが^^;)それでお蔵出ししてきました^^

もともと2分冊として出ていたホラーアンソロジーを3分冊して、字も大きくなった新装版です。「敵」「罠」「霧」のサブタイトルがついていますが、その中の「霧」に、キングの「霧」(あの不条理映画「ミスト」の原作です)が入ってます。
「罠」にはスタージョンやマシスン、オーツ、ブラッドベリ、なんとゴーリーまで入ってて豪華なラインナップになってます。

「復讐するは…」 シオドア・スタージョン
酒場に訪れた男は近辺に住むならず者の話を聞きたがります。その意図は?
題名通り復讐するためにやって来たのだと思ったら、後半のSF的展開にはびっくりでした。さすがスタージョンという感じです^^

「闇の天使」 エドワード・ブライアント
過去に自分を捨てた男と出会った主人公が、恐ろしい方法で復讐をする物語です。
20年間復讐のために機会をうかがっていたならともかく、急に思いついたとしたらかなり狂気に走った女性ですね…。方法が尋常でないです。男性が読んだらもっと怖いかも。

精神一到…」 リチャード・マシスン&リチャード・クリスチャン・マシスン
親子合作の珍しい作品です。閉じこめられた棺の中からの脱出劇なのですが、あっと驚く結末が待ってます。

「ビンゴ・マスター」 ジョイス・キャロル・オーツ
39才で男性経験のないローズは、自分の殻を破ろうとビンゴゲームに参加し、そこで魅力的なビンゴマスターに目を奪われます。
39才ってとこが微妙な年齢ですね~。これは読者にとってはホラーではないけれど、ローズにとっては間違いなくホラーでしょうね。

莫迦げた思いつき」 エドワード・ゴーリー
ちゃんと絵も載っていてゴーリーファンにはたまらないかと^^
起きるのが嫌で嘘をついて寝ていた少年の運命は?ゴーリーらしい結末ですね。でも不条理ではなく、教訓的です。

「ゲロンチョン」 ラッセル・カーク
インパクトありすぎる題名で「鴨川ホルモー」の鬼語を連想しました^^;でもこれは人の名前です。悪徳に満ちた男ゲロンチョンの悪行と、彼に体を乗っ取られそうになった大臣の怪異譚です。
異国情緒豊かな作品で、しかも最後にドキッとさせる展開が楽しめました。

「見えざる棘」 レイ・ブラッドベリ
未来から来た自分に、将来自分が殺人を犯すことを知らされた男は…。
この終わり方は含みを持たせてますね~。未来の自分に教えられた通りに行動できるのか…でもかえって自然な感情が出せなくなるかも知れませんね。タイトルも秀逸です。

「罠」 ゲイアン・ウイルソン
キングにもありましたね~、鼠に襲われる話。こちらは分かりやすく、最後は想像するとちょっとディズニーぽい感じもするのですが^^;

「王国の子ら」 T・E・D・クライン
ラストを飾る中編で読み応えがあります。超自然的なホラーというより、老人問題、人種問題、都会に潜む恐怖などを中心に描いた作品です。

これは読んで良かった!と思う作品集でした。面白くて一気に読んじゃいました^^ただ怖いだけの作品はほとんどないので、ホラー苦手な人でも楽しめると思います。