魔女は甦る  中山七里

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製薬会社の社員桐生が殺害された事件を追うミステリです。
いきなり凄惨すぎる遺体発見現場は、食事の前後に読むのはやめた方が良さそうです。
ですが、インパクト大なのも間違いなし。事件の謎に引きつけられます。
中山さんの作品は、「さよならドビュッシー」に始まる岬洋介シリーズは読んでなくて、「贖罪の奏鳴曲」等、ダーク系な作品を読んでるので、違和感なかったです。

桐生の事件と並行して、付近の飼い猫が何匹も行方不明になっていること、生後間もない赤ちゃんが誘拐される事件が起こります。
これらの事件の関連は…?

登場人物の刑事たちも印象的です。中心となる刑事槇畑は、離婚の傷と過去の事件の傷を引きずっています。班長の渡瀬はぶっきらぼうながら、部下から信頼される刑事で、時々洒落た言い回しが飛び出すのが面白いです。新人の古手川は乏しい推理力が、女性絡みの時だけ発揮されます。渡瀬と古手川が唯一、この物語を明るくしてくれる要素ですね。
そして、警察庁から派遣された宮條。日頃はクールですが、麻薬事件だと我を忘れるところがあります。

事件そのものも陰惨ですが、登場人物の過去がまた悲惨すぎて…。そこまで描き出さなくても十分伝わるでしょう…っていう感じです。

後半になると、物語は一気に様相を変えて、パニックホラーに。いや~怖いです。
トラウマになりそうな怖さです。
犯人…あからさますぎてかえって分からないという伏線が巧いです。
1つ言えば、猫や赤ちゃん誘拐の時、誰にも見られてないっていうのがちょっと無理がありますね^^;

シリーズ化されてるそうで、本書でちらっと登場する麻薬取締官の七尾が主人公だそうです。リーダビリティは間違いないのでもう少し明るい路線にシフトしてくれるといいんですが。