本棚

ST 警視庁科学特捜班 青の調査ファイル  今野敏

読むのは4番目になりましたが、色シリーズ一作目です。 今回の主役は青山翔。STの文書鑑定担当で、プロファイリングの専門家です。彼の特徴は、何と言っても超絶美青年である事です。現場に彼が現れると、その美しさにその場にいる人達の動きが一瞬止まっ…

忍びの国  和田竜

最強の伊賀忍者と称される無門と、織田信雄(のぶかつ)率いる織田軍との戦い(天正伊賀の乱)を描いた物語です。血で血を洗う戦国の物語…ではあるのですが、実はラブストーリーが主軸に置かれているとは思いませんでした。 「その腕、絶人の域」と呼ばれる…

12番目のカード  ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ6作目です。 成績優秀な高校生ジェニーヴァは、先祖である解放奴隷のチャールズについてレポートを書こうと調べている時、何者かに襲われそうになります。現場には1枚のタロットカードが残されていました。 ライム達は、彼女が…

追憶の夜想曲  中山七里

御子柴礼司シリーズ二作目です。非常に優れた弁護士である一方、暗すぎる過去を抱えている、主人公としても弁護士としても異色のキャラクターです。 いきなり御子柴の過去に関わる描写から始まり、それがインパクト大なのですが、これを描く事で現在の御子柴…

ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル  今野敏

順不同で読んでる三作目ですが、実際色シリーズ三作目でもあります。 黄ということで山吹才蔵の出番です。薬物毒物の専門家で、家がお寺で本物の僧侶です。個性的すぎるSTのメンバーの中ではノーマルな方で、STのキャップ百合根の心の拠り所です(笑) …

紙の動物園  ケン・リュウ

タイトル作がヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞を受賞した、日本オリジナル短編集です。又吉さんがおすすめの本ということで、日本でもかなり評判になりました。 全十五編所収です。特に心に残った作品を紹介します。 『紙の動物園』 アメリカ人の…

サブマリン  伊坂幸太郎

根拠のない自信で我が道を行く、はた迷惑な家裁調査官、陣内が帰ってきました^^ 前作『チルドレン』は十年以上前の作品で、多くの人にとっては「久し振り」だと思いますが、私はわりと最近読んだので「おお、また会ったね」という気分です(笑) 陣内と武…

ST 警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル  今野敏

赤の調査ファイルに続き、今回は黒。というわけで、黒崎が中心の物語です。 歌舞伎町界隈で頻発する謎の火災。火元が何もない部屋から火事は起きていました。 STは、原因を探るよう指令を受けます。 この事件とは別に、詐欺でお金をだまし取られた男が、中…

ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル  今野敏

警視庁科学特捜班、通称STの活躍を描いた人気シリーズです。 これは第一作じゃないのですが、ドラマで藤原竜也さんが演じた赤城左門が印象的だったので、これから読んでみることにしました。ドラマで放送があったストーリーのようですが、観てなかった回ら…

ジャック・リッチーのびっくりパレード

短編の名手リッチーの、25編の作品が年代別に収められた短編集です。 犯罪に絡んだものが多いのですが、どこか軽妙で洒落た雰囲気があるのがリッチー流。 面白いのは、SF作品…というか、SF的設定の作品がいくつかあることです。 「殺人光線だぞ」はタ…

キャプテンサンダーボルト  伊坂幸太郎 阿部和重

小学校からの同級生である相葉時之と井ノ原悠が、謎の伝染病「村上病」をめぐる陰謀に立ち向かう冒険活劇です。 相葉パートが「A」ということで阿部さんが、井ノ原パートが「I」で伊坂さんが担当なのかな?と思います。終わりの方になると、パート分けは明…

カールの降誕祭  フェルディナント・フォン・シーラッハ

短編が三編所収です。タダジュンさんの挿絵が、この残酷で乾いた世界観にぴったりです。 「パン屋の主人」 誤解から殺人を犯したパン屋の主人が刑期を終えて、また働くようになります。彼は恋をして、彼女のために渾身のタルトを作るのですが… ショックだっ…

悪夢の行方 「読楽」ミステリアンソロジー

表紙に梓崎優さんの名前を見つけた途端、即買いしてしまいました。 読んでみると、梓崎さんの作品以外は警察小説で、梓崎さんの作品がぽんと浮いてる感じです。もちろん、突出してるという意味でもあるのですが。 徳間文庫って警察小説のイメージがあるんで…

火星の人  アンディ・ウィアー

「オデッセイ」のタイトルで映画化され、アカデミー賞候補にもなっている作品の原作です。公開前にまず原作を読んでおこうと思いました。 火星でのミッションから撤退する時、事故で折れたアンテナが、クルーのマーク・ワトニーを直撃します。彼は砂嵐の中に…

鏡の花  道尾秀介

大切な人を失った時、残された家族や周りの人々は何を思い、どのように生きていくのか…。 登場するいくつかの家族は共通ですが、章によって、亡くなっている人が違うのです。 1話で登場する瀬下は、癌で妻を亡くしたと語りますが、2話ではその妻は生きてい…

記憶屋  織守きょうや

日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞した作品です。角川ホラー文庫から出ていますが、怖いと言うより切ない物語です。 大学生の遼一は、思いを寄せている先輩京子が夜道恐怖症なのを知って、協力して治そうとします。ですが京子は記憶を消してくれるという噂の…

火村英生に捧げる犯罪  有栖川有栖

ドラマ化されるということで、ひさびさに読んだ有栖川さんです。 英都大学社会学部准教授の火村英生、その友人で推理作家の有栖川有栖のコンビで、「作家アリスシリーズ」と呼ばれています。 斎藤さんの火村も良いと思いますが、私が期待してるのは窪田くん…

悲しみのイレーヌ  ピエール・ルメートル

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第一作であり、作者のデビュー作でもあるフレンチミステリです。 「その女アレックス」の方が日本では先に出版されたため、本作の結末はある程度予想できるのですが、ある意味「その女~」の方を先に読んでいて良かっ…

ばけもの好む中将(参)天狗の神隠し  瀬川貴次

怪異が大好きな変わり者の中将宣能と、彼に気に入られた中流貴族の宗孝のコンビが、怪異の噂を追うシリーズ第三弾です。 今回のキーワードはずばり「茸」。 自称「本とキノコを愛する会」の会長としては、これは見逃せません。 宗孝の二の姉(十二人の姉のう…

魔女は甦る  中山七里

製薬会社の社員桐生が殺害された事件を追うミステリです。 いきなり凄惨すぎる遺体発見現場は、食事の前後に読むのはやめた方が良さそうです。 ですが、インパクト大なのも間違いなし。事件の謎に引きつけられます。 中山さんの作品は、「さよならドビュッシ…

3時のおやつ(アンソロジー)

作家さんや映画監督さんなどが、おやつについての思い出を語ったエッセイアンソロジーです。 「おやつ」って聞いただけで何だかわくわくさせられるのは、子供の頃の気持ちを思い出すからでしょうか。 30編の中で特に印象的なエッセイについて紹介します。 …

火花  又吉直樹

ついに「文藝春秋」誌で本作を読みました。芥川賞の選評と、又吉さんのロングインタビュー、羽田さんの「スクラップ・アンド・ビルド」も載ってるのがお得です。 先輩芸人の神谷に憧れと羨望を抱きつつ、共に過ごす、芸人の徳永の日々を描いています。 又吉…

ソラリスの陽のもとに  スタニスワフ・レム

夏に一冊はSFを読もう!自己キャンペーンの一冊です。今回は超有名なのに読んでなかったこの作品。生きている海っていうこと以外は何も知らなかったのですが、予想してた内容とはかなり違ってました。 惑星ソラリスに、調査のため着任したケルビンは、同僚…

夜の床屋  沢村浩輔

書店員さんのおすすめPOPが付いて、平積みになってたこの文庫、聞いた事がない作家さんだなあと思ったら、これがデビュー短編集だそうです。タイトル作が「ミステリーズ!」新人賞を取った作品なのだとか。 主人公の大学生、佐倉と友人の高瀬が巻き込まれ…

ジャイロスコープ  伊坂幸太郎

伊坂さんの作品、長編がたまってますが、いきなり文庫で発売の短編集が読みやすそうだったので先に手に取りました。 「浜田青年ホントスカ」 蝦蟇倉市事件の一作で、既読です。このアンソロジーに参加したくて急遽加えてもらったそうで、何だか微笑ましいで…

ストレイヤーズ・クロニクル ACT1  本多孝好

実験で特殊能力を獲得した子供たちによる2つのチームが暗躍する様子を描いた、シリーズ第1弾です。 映画化されましたが、そちらは未見です。 この設定の物語は「Story Seller」で読んでいましたが、あれはプレストーリーでしょうか? 政治家大曽根誠の娘悠…

化学探偵Mr.キュリー2  喜多喜久

四宮大学庶務課に持ち込まれる問題を、好奇心旺盛な七瀬麻衣が「先進化学研究室」の沖野准教授にさらに持ち込んで解決するライトミステリー第2弾です。 作者が化学畑の人ってことで、化学的な知識を応用したトリックが面白いのですが、うるさがりながらも面…

街角の書店(18の奇妙な物語)  ブラウン、ジャクスン他

“奇想”系の作品を集めたアンソロジーです。超有名作家から、無名の作家まで、よく見つけて来たなあという感じです。全18編の中から、印象に残った作品を紹介します。 「肥満翼賛クラブ」 ジョン・アンソニー・ウェスト 夫を太らせてコンテストに出場させる…

ビブリア古書堂の事件手帳5~栞子さんと繋がりの時~  三上延

ひさびさに続きを読んだのですが、そうそう、前巻で大輔が栞子さんに告白したんでしたね。 そして、返事は保留…と、大輔にとっては大変な状況になってる第5巻です。 今回取り上げられている本や雑誌は、 「愛のゆくえ」 リチャード・ブローティガン 「彷書…

魔術師  ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ5作目です。 今回は、変幻自在のイリュージョニストとの対決です。 どれくらい変幻自在かというと、まず、見た目を完全に変えられるので、素顔を知っていても見つけられません。 服の早替えができるので、さっきまで着ていた服を…