夜の夢見の川  シオドア・スタージョン他

はずれがなかった「奇妙な味」のアンソロジー『街角の書店』に続く第2弾です。 全12編のうち、特に心に残った作品を紹介します。 「麻酔」 クリストファー・ファウラー 歯医者でいつもと違う臨時医の治療を受けた男の悪夢を描いています。 これ、入るアン…

フロスト始末  R・D・ウィングフィールド

デントン署の名物警部ジャック・フロストが、数多くの事件に奔走する人気シリーズ最終巻です。いよいよ最後ですか…。作者が亡くなったため、新作はもう読めません。 食事の時間も睡眠時間もとるのに苦労しながら、フロストと部下達は事件解決のために駆け回…

宇宙探偵マグナス・リドルフ  ジャック・ヴァンス

白髪白鬚、哲学者であり数学者の顔も持つ、宇宙を駆け巡るトラブルシューター、それがマグナス・リドルフです。 落ち着いた物腰で丁寧な言葉遣い、一見大学教授のようですが、さまざまな事業を手がけ、儲けているはずなのにいつも借金取りに追われています。…

忍びの国  監督 中村義洋

最強の伊賀忍者と称される無門と、織田信雄(のぶかつ)率いる織田軍との戦い(天正伊賀の乱)を描いた物語です。また、無門と最愛の妻お国のラブストーリーでもあります。 映画の前に舞台挨拶のライブビューイングがありました。 大ちゃんが全国の観客に向…

穢れの町  エドワード・ケアリー

第一巻「堆塵館」がとんでもないクリフハンガー状態で終わって、次が読みたくてたまらなかったのですが、読み終わってすぐに2巻が出たので良かったです^^ 今回の舞台は、ルーシーの故郷フィルチング。ごみで汚染されたその町は「穢れの町」と呼ばれていま…

堆塵館  エドワード・ケアリー

ロンドンの外れにある巨大なごみの堆積場に、「堆塵館」と呼ばれる屋敷があり、そこにはごみの中から有用な物を掘り出して財をなした、アイアマンガー一族が住んでいました。 その一人、クロッド・アイアマンガーを中心に、独自のしきたりと不思議な出来事を…

化学探偵Mr.キュリー3  喜多喜久

四宮大学庶務課の七瀬麻衣が学生から持ち込まれた事件を、理学部化学科の准教授、Mr.キュリーこと沖野が解決するシリーズの第三弾です。 「化学探偵と呪いの藁人形」 昔取った杵柄で、研究室同士のソフトボールの試合にかり出された麻衣。その一方で、双子…

蜜蜂と遠雷  恩田陸

芳ヶ江国際ピアノコンクールに臨む4人の、第一次予選から本選までを追った物語です。 始めに選択すべき課題曲一覧、その後各登場人物の選んだ演奏曲一覧がずらりと並び、読者もこれからコンクールを聴きに行くような気持ちにさせられます。 コンテスタント…

リバース  湊かなえ

先日から始まった、藤原竜也さん主演ドラマの原作です。ひさびさに、一日で本を読み終わりました。 深瀬和久は、珈琲を上手に入れることが唯一自慢の、平凡なサラリーマンです。 なじみの珈琲店で出会った美穂子とつきあい始めますが、彼女の元に「深瀬和久…

ウォッチメイカー  ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ第7弾です。 今回の犯人は、犯行現場に月齢を表す絵のついたアンティークの時計を置いていく、「ウォッチメイカー」と呼ばれる男です。 原題は「The Cold Moon」で、こちらの方が雰囲気あるような気がするんですが。 ウォッチメ…

今年の4月3日は

今日は、ウン十三回めの誕生日です。 転勤になり、新しい職場での初日で緊張した一日でしたが、 上司が誕生日を祝うのが趣味らしく、バースデイカードをもらった上に、 みんながバースデイソングを歌ってくれて驚きました。 こんなことは初めてだったので嬉…

有頂天家族 二代目の帰朝  森見登美彦

「阿呆の血のしからしむるところ」の無鉄砲な下鴨矢三郎を中心に、狸の下鴨四兄弟の騒動を描く物語第二弾です。 天狗の赤玉先生の二代目が英国から戻って来るのですが、赤玉先生との確執、かつて一騎打ちをした犬猿の仲である弁天とのその後は?というのが物…

傘をもたない蟻たちは  加藤シゲアキ

NEWSのシゲの初短編集。長編は読んでないので、自分にとって初シゲ小説になります。 ちょっと驚いたのはタイトル作がないって事です。調べてみると、「様々な困難な状況下で戦おうとする登場人物たち」を蟻になぞらえたそうです。ドラマ化もされていて観…

ラ・ラ・ランド  監督 デイミアン・チャゼル

女優を目指し、オーディションを受け続けるミア(エマ・ストーン)と、自分の店を開くことを願うジャズピアニストのセブ。(ライアン・ゴズリング)二人の恋と、夢の行方を描くストーリーです。 実は、ミュージカルは苦手で^^;何で唐突に歌ったり踊ったり…

一角獣・多角獣  シオドア・スタージョン

『異色作家短篇集』第3巻です。旧版では一番手に入りにくかったというマニア垂涎の書も、今では手軽に…とは言わないまでも(けっこうお高い)読むことができるのはありがたいです。 解説にもなかったので自分で原題の意味を調べてみたのですが、「E pluribu…

黒猫の薔薇あるいは時間飛行  森晶麿

美学の若手教授黒猫と、その付き人の恋愛の行方も気になるミステリーです。 このシリーズ、主役2人の名前はずっと分からないまま行くのでしょうか。 パリに渡った黒猫は、恩師の孫娘マチルドから、音楽家のリディア・ウシェールの音楽が変わってしまった理…

ドクター・ストレンジ  監督 スコット・デリクソン

ベネさんが3ヶ月遅れの日本のために前撮りした数々のコメントを聞きながら、待ってましたよ、公開を!「残り物には福がある」なんて言われたら納得するしかないですね(笑) とてもお天気の良い日で、山越えも路肩に雪があったものの、問題なく行けました^…

ビブリア古書堂の事件手帖6~栞子さんと巡るさだめ~  三上延

読むのを中断しているシリーズ物のいくつかを、今年は再開しようとまず選んだのがこのビブリア古書堂です。 今回は太宰治の『晩年』で、太宰自身が持っていて書き込みをした稀覯本についての長編です。 『晩年』の稀覯本と言えば、栞子さんが階段から突き落…

その可能性はすでに考えた  井上真偽

今年1冊目は、一昨年のミステリベスト10を賑わわせた作品です。 ある宗教団体の集団自殺で生き残った少女が、十数年後、事件の謎の解明を探偵に依頼します。 変わった雰囲気の作品でした。メフィスト賞の香りが漂ってくるな~と思ったら、第一作目がメフ…

2016年のマイベスト10

今年も紅白をバックにベスト10を決めていきたいと思います。 今年中に読み終わりたい本があったのですが、とうとう読み終われず…。できれば三が日で記事上げたいです。 いつもの事ですが読んでる冊数が少ないので、あまり参考にはならないベストです。 1 …

代償  伊岡瞬

遠縁で同い年の達也によって、悪夢のような少年時代を送った圭輔は、成長して弁護士になりますが、そこへ逮捕された達也から弁護の依頼が舞い込みます。 Huluでオリジナルドラマが製作され、主演は小栗旬さんです。まだ観ていませんが、その原作と言うこ…

X’mas Storys 一年でいちばん奇跡が起きる日

クリスマスを舞台にした、人気作家さんによるアンソロジーです。読むなら今しかないかなってタイミングで読んでみました。 「逆算」 朝井リョウ 自分が生まれるきっかけになった日にこだわるOLの物語。 仕事も上手くいかないし、彼もいない、その上昔の彼…

エスカルゴ兄弟  津原泰水

出版社をリストラされ、料理上手を買われて吉祥寺の立ち飲み屋に斡旋された尚登。その店の長男、秋彦は螺旋大好きな「ぐるぐる写真家」でした。秋彦は店を改装して、エスカルゴ料理店を開こうと計画していました。 その店「スパイラル」を巡る、ユニークな人…

ジョイランド  スティーヴン・キング

ノースカロライナの遊園地ジョイランドでバイトを始めた大学生デヴィンの、出会いと別れ、事件との遭遇を描いた、ノスタルジックなミステリーです。 遊園地という舞台設定が実は苦手で…ディズニーもUSJもそれなりに行ってるし、楽しんでるんですが。裏側…

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅  監督 デヴィッド・イエーツ

ハリー達が授業で使っていた「幻の動物とその生息地」の著者ニュート・スキャマンダーが主役の物語です。 予告ではかわいい魔法動物や、ユニークなシーンがメインで紹介されていたので、子供向けの明るい雰囲気なのかな?と思っていましたが、これがやっぱり…

植物図鑑 運命の恋、拾いました  監督 三木康一郎

ある日さやかは家の前で、空腹で行き倒れた青年に出会います。 「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」 犬のように丸めた手をぽんと乗せた面白さに、つい家に連れて帰ってしまいます。翌朝彼が作ってくれた朝ご飯に感動して、さやかは同居生活をも…

ハリー・ポッターと呪いの子  J・K・ローリング 他

『ハリー・ポッターと死の秘宝』の19年後を描いた、ロンドンで上映された舞台のスクリプトです。ト書きもそのままなので、最初は違和感もありましたが、すぐにこの世界に入っていけました。 ハリー達は37才になり、息子や娘達がホグワーツに入学する年齢…

ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人  今野敏

山吹さんの専門である毒物の話が読みたくて、色シリーズをちょっとお休みしてこちらを。連続ドラマの第一話になっているのですが、観ていたはずなのに全く内容を思い出せず…先ほどドラマを観直してみると、設定や登場人物がずいぶん違っていて驚きました。 …

天使と悪魔  ダン・ブラウン

以前から持っていた原作、先日遅ればせながら映画を観たことで、ようやく手に取りました。先に読むつもりで映画を観てなかったのですが、結局映画が先に^^; 大量の反物質の生成に成功した科学者が殺され、反物質が盗まれます。これは、他の物質とぶつかる…

傷だらけのカミーユ  ピエール・ルメートル

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ三作目です。 妻のイレーヌを亡くして五年、カミーユは、恋人のアンヌが、強盗を目撃して襲われたことを知ります。アンヌは顔に大怪我を負いますが、犯人は執拗にアンヌを狙います。犯人の真の目的は何なのでしょうか。…