ブログ十周年

8月7日、ブログ「木の葉郵便」は十周年を迎えました。 相変わらずの遅読で、忘れた頃に記事をUPするような感じで、ほそぼそと続けて参りましたが、よくまあここまで続けられたものです。 始めた頃に知り合ったブロ友さんの中にも、ずっとブログを続けて…

村上RADIO 8/5 ON AIR

きのうバタバタしていて聴けなかったので、今日radikoのタイムフリーを使って聴きました。 村上春樹さんは初めてのラジオDJだというのに、とってもスムーズなしゃべりで驚きました。「走る時に聴く音楽」がテーマなので、村上さんが日頃ジョギングの時に実…

スタートボタンを押してください

ゲームをテーマにしたSFアンソロジーです。 人気タイトル作のいくつかはプレイしたことがあるので、私も一応ゲーマーの端くれと言ってもいいかも。 ゲーム的な設定だけの作品から、ゲームと現実がクロスするVR的なもの、古き良きテキストアドベンチャー…

ミスト 短編傑作選  スティーヴン・キング

キングとの出会いは、短編集『骸骨乗組員』でした。その中の中編『霧』に魅了されて、それ以来キングの短編、長編を読みあさりました。ホラーというジャンルにこの頃はまったのもキングのおかげです。 最近はあまりホラーを読まなくなり、キングからも遠ざか…

悪徳の輪舞曲  中山七里

弁護士御子柴シリーズ最新作です。 過去に重大事件の当事者だった御子柴ですが、冷徹で凄腕の弁護士として名を馳せます。このシリーズは、御子柴がどういう思いで人生を送っているのかということと、だんだんと人間らしさを獲得したり、垣間見せたりする姿を…

空飛ぶタイヤ  池井戸潤

運送業者を営む赤松は、運送中のトラックのタイヤが外れ、そのタイヤが歩行中の親子の母親を直撃する事故を起こしたことを知ります。 トラックの壊れた部品を、トラックの製造会社であるホープ自動車に検査に出し、「整備不良」という結論を出したホープ自動…

22年目の告白 ―私が殺人犯です―  監督 入江悠

WOWOWで以前あったのを録画していて、ようやく観ました。韓国映画「殺人の告白」をベースにしているそうで、続けてそちらも放送があったのですが、録画はしていませんでした。 1995年に、未解決の5件の連続殺人事件が起こり、担当刑事の牧村(伊藤英明)は…

ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール

ベンの家の庭に現れた、あり合わせの部品を寄せ集めて作ったようなレトロなロボット。始めはアクリッド・タングという自分の名前と、オーガストと言う言葉しか話しませんでした。ベンの妻のエイミーは、タングを気にかける夫に愛想を尽かして出て行ってしま…

検察側の罪人  雫井脩介

木村くんがベテラン検事の最上、二宮くんが新進気鋭の検事である沖野を演じる映画が公開予定の話題作です。 2人を思い浮かべて読むと、けっこうイメージ的にはまるかもです。 最上が法学部の学生時代にお世話になった寮母の娘由季が暴行されて殺されるとい…

風神の手 道尾秀介

久しぶりに読んだ道尾さんです。読んでない作品もいくつかありますが、すっとばして、評判の良い最新作に挑戦しました。 下上町(しもあげちょう)、上上町(かみあげちょう)という二つの町を舞台に、そこで行われた護岸工事で起きた事件と、遺影専門の写真館「…

ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ第8弾です。 今回の犯人は、個人情報を手玉に取って犯罪に利用します。ありもしない犯罪歴を付け加えて人を破滅させたり、自分の犯罪の証拠を人に押し付けて、その人を犯人に見せかけるのもお手の物です。 そんなサイバー犯罪者52…

7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー

新本格の作家さん揃い踏みで、有名な名探偵が活躍する作品と、変化球の作品で構成されてます。 『水曜日と金曜日が嫌い一大鏡家殺人事件一』 麻耶雄嵩 麻耶さんと言えばメルカトル鮎。 美袋三条は道に迷い、見つけた洋館に助けを求めます。そこで不審な人物…

肺都 エドワード・ケアリー

「肺都(ランドン)」とは、アイアマンガー一族の呼ぶロンドンのことです。 ロンドン中のごみが集められた屑山を管理するアイアマンガー一族には独自の掟があり、謎の多い一族でした。 その1人クロッドは、物の声を聞くことができ、2巻では、物を自由に動かす…

ホワイトラビット 伊坂幸太郎

誘拐組織の下っ端として働く兎田が、組織に自分の妻を誘拐され、組織の金を持ち逃げした折尾を見つけて連れて来いと脅され、折尾を追ってある家に立てこもります。 その「白兎事件」の顛末を描いた物語です。 伊坂さんには珍しい叙述の仕方で、事件を見通す…

屍人荘の殺人 今村昌弘

神紅大学のミステリ愛好会に所属する葉村は、会長で神紅のホームズと呼ばれる明智と、大学で探偵少女として有名な剣崎とともに、映画研究会の夏合宿に参加することに。 そこで起きた未曾有の事態により、参加者たちは外界との接触を断たれます。そして、殺人…

2017年のマイベスト10

今年も紅白をバックに2017年の読書生活を振り返って行きたいと思います。 海外作品をまあまあ読んだので、ひさびさに国内、海外別にランキングを出したいと思います。 【国内】 1 『蜜蜂と遠雷』 恩田陸 ピアノの演奏を文章でこんな風に表せるのだとい…

書架の探偵 ジーン・ウルフ

推理作家であるE・A・スミスの複製体(リクローン)である主人公は、図書館で借り出される「蔵者」です。 作家から直接話を聞けるというのはその作家のファンからすれば、夢のような話ですが、大富豪の娘コレットがスミスを借り出したのは、そういう理由ではあり…

月の部屋で会いましょう レイ・ヴクサヴィッチ

34編もの短編が所収の、奇想としか言いようがない短編集です。 まず、一編目の『僕らが天王星に着くころ』を読めば、その奇想のほどが分かるでしょう。 次第に、体の表面が宇宙服に変わり、全部が変わってしまうと、体が浮かんで宇宙に向けて旅立ってしまう…

友罪 薬丸 岳

自分の親友や恋人が、子供の時、世間を震撼させるほどの重大犯罪を犯していたら、それを知る前と同じように付き合っていくことができるか、という重いテーマの作品です。 映画化もされていて、犯罪を知る側である益田を生田斗真くん、犯罪の当事者の鈴木を瑛…

三つの悪夢と階段室の女王 増田忠則

初読みの作家さん。 悪意や復讐など、人の心の暗闇を覗くような短編集。皮肉なラストも特徴です。 『マグノリア通り、曇り』 娘を誘拐された男は、犯人がビルから飛び降り自殺をしようとしているのを知り、何とか思いとどまらせようとしますが、犯人は男に様…

ミステリークロック 貴志祐介

防犯探偵榎本シリーズの最新作です。4編のうち、2編はすでにドラマ化済みです。哀川翔さんと藤木直人さんのぶんですね。 貴志さんのインタビューを読みましたが、ドラマ版を気に入って下さっていて、大野くんの榎本径も適役だと感じておられるようです。ドラ…

ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~ 田中経一

佐々木は、死を前にした人間が最期に望む思い出の料理を作ることを生業にする料理人です。 しかし、彼の元に、あるレシピを探してほしいという依頼が舞い込みます。 それは、戦時中の満州で、満漢全席を超えるフルコースのレシピを作成することを軍から請わ…

きのこくーちか  新國みなみ

「くーちか」とはロシア語で「仲間」という意味です。 ロシア人で雑貨店の買い付けをしているワーニャと、きのこが大好きで、きのこ雑貨を作っていて、個展も開いているゆん太の同居&きのこ生活を描いています。 まず表紙に惹かれました。ベニテングタケ、…

幽談  京極夏彦

装丁が洒落ていて、京極さんかと思ったら違う人なんですね。鶯色の和紙が最初と最後に挟まっていて、そこから第一話がもう始まり、最後の話もその和紙で終わっています。 「手首を拾う」 妻よりも拾った手首に執着する、フェティストの物語なのですが、情景…

死と砂時計  鳥飼否宇

中東の架空の小国ジャリーミスタンにある、世界中の死刑囚を収監する終末監獄で起きる事件を解決する連作ミステリーです。 死刑執行に対する反対世論が高まり、各国は死刑囚を抱えて監獄はパンクしそうでした。そこで、ジャリーミスタンは原油輸出に代わる新…

AX  伊坂幸太郎

凄腕の殺し屋「兜」は、家では妻に頭が上がらない恐妻家です。一人息子の克巳もいて、家族のためにも仕事から引退しようと思いますが、仕事を斡旋する「医師」は一筋縄では行かず…。 「マリアビートル」以来の殺し屋シリーズです。「マリア~」の新幹線での…

あなたの人生の物語  テッド・チャン

「夏に一冊はSFを読もう!」今年の私的課題図書です。 映画『メッセージ』を観た後、その原作であるタイトル作だけ読んだのですが、今回始めから読み直しました。 寡作ながら、所収の作品でその評価を確定的にした短編集です。チャンは短・中編しか書いて…

にっぽん氷の図鑑  原田泉

「氷の図鑑」と銘打っているだけあって、人気かき氷店の様々なかき氷がこれでもかと並んでいます。 子供の頃それほどかき氷を食べた記憶はなく、今でもたまにしか食べない私ですが、見るのは大好きです。花の図鑑のように色鮮やかな氷の図鑑は見ても楽しめま…

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。  川上和人

印象的なタイトルは、作者が大学に入るまで鳥にはほとんど興味がなく、サークルでバードウォッチングの手ほどきを受けたら夢中になってしまったということからです。 作者の川上さんは東大農学部と大学院で鳥の研究をし、つくば市にある「森林総合研究所」の…

ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル  今野敏

色シリーズを順調に読み進めていたのに、これだけちょっと間空きました。 世界的なバイオリニスト柚木優子のストラディバリウスが盗まれる事件が起こります。 STのメンバーが捜査を続けるうちに新たな事件が。 今回は緑ということで、驚異的な聴力をもつ結…